連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第129回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月30日~4月5日
Web攻撃の23%がAPIを標的に、エンジニアの役割に転換期、ローカル5G市場は商用フェーズに移行、ほか
2024年04月08日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年3月30日~4月5日)は、13年ぶりの高い成長を見せる国内ITサービス市場、テクノロジー人材の将来展望、AR/VRヘッドセット市場のシェア、API攻撃が増加するWeb攻撃の動向、国内ローカル5G市場についてのデータを紹介します。
[ITサービス]2023年国内ITサービス市場は6.4兆円、13年ぶりに前年比5%増を超える成長(IDC Japan、4月4日)
・2023年の国内ITサービス市場は6兆4608億円で、前年比6%増
・5%を超える成長は2010年以来
・2023~2028年の年間平均成長率(CAGR)は4%、2028年には8兆1495億円を予測
国内ITサービス市場は2023年、前年比6%増の6兆4608億円となった。5%を超える成長は2010年以来、13年ぶりのこと。成長を牽引したのは、企業のデジタルビジネス強化に向けたマイグレーションやモダナイゼーション、デジタルイノベーションの実装需要の増加。なかでもITコンサル、システムインテグレーションなどのプロジェクトベース市場だ好調だという。好調な市況は2024年以降も続き、2023~2028年は年間平均成長率(CAGR)4.8%で推移し、2028年には8兆1495億円規模になると見込む。
[人材]テクノロジー人材の役割に大きな変化、2030年までに“ビジネスのクリエイター”へ(ガートナージャパン、4月3日)
・エンジニアの役割は、ビジネスを革新する「クリエイター的エンジニア」へと変化
・ハイパースケーラーやAIの認定資格がITリーダーの必須条件になる企業は2027年までに70%
・「AGI(汎用人工知能)」の時代は人間力が重要、「People Centric」最優先の姿勢が必要
テクノロジー人材の将来に関する展望。エンジニアの役割は歴史的転換期にあり、テクノロジーを駆使してビジネスそのものを革新する「クリエイター的エンジニア」への転身が求められるとする。PoCも「技術を評価するためのPoC」という位置づけから「人が技術を経験する機会としてのPoC」に変化。企業の60%が、PoCを通じて「社内の人材がその技術を使いこなせるか」を試すようになるため、PoCの成否は人や組織の能力が大きく影響すると見る。
[消費者][AR/VR]国内AR/VRヘッドセット市場、ソニー「PS VR2」が牽引して前年比67%増(IDC Japan、4月3日)
・2023年の国内のAR/VRヘッドセット出荷台数は56.6万台、前年から67%増加
・ARヘッドセットは前年比32%増の4.8万台
・VRヘッドセットは前年比71%増の51.7万台
2023年の国内のAR/VRヘッドセット市場の動向。総出荷台数は56万6000台で、そのうちARヘッドセットが4万8000台(前年比32.3%増)、VRヘッドセットが51万7000台(71.6%増)を占める。出荷台数が大きく増えたのは、ソニー「PlayStation VR2(PS VR2)」の発売が要因。ARヘッドセットではXREALなど比較的安価なコンシューマー向けデバイスが、VRヘッドセットではPS VR2、Metaの「Quest 3」などが好調だった。
[セキュリティ]Web攻撃の23%がAPIを狙う、製造やゲームなどが攻撃ターゲット(アカマイ・テクノロジーズ、4月4日)
・2023年に観測したWeb攻撃のうち、APIを標的とした攻撃は23%(世界は29%)
・最も攻撃を受けた業界は「製造業」、Web攻撃のおよそ57%をAPI攻撃が占める
・API攻撃の攻撃ベクトルとしては「データハーベスティング」がトップ
最新の脅威レポート「インターネットの現状(SOTI)|影に潜む脅威:攻撃トレンドで API の脅威を解き明かす」より、日本のデータをまとめた。2023年通年、すべてのWeb攻撃のうちAPIを標的としたものは23%(世界は29%)だった。最も攻撃を受けた業界は製造業で、Web攻撃全体の約57%をAPI攻撃が占めた。次はゲーム業界で約29%をAPI攻撃が占めたという。同社は「API攻撃がセキュリティ上無視できないことを示している」とまとめている。
[ローカル5G]2023年、ローカル5Gは実証実験から商用フェーズに移行(IDC Japan、4月1日)
・国内ローカル5G市場は実証実験フェーズから商用フェーズへ移行
・2028年の国内市場規模は672億円を予測
・2023~2028年の年間平均成長率は43%
国内ローカル5G市場(ローカル5G対応デバイス、インフラ、関連アプリケーションに対する支出)の予測。市場規模は2023年に100億円を超え、実証実験フェーズから商用フェーズへの移行が見られた。それに伴って、一般のICT市場と同様に、海外のインフラベンダーやデバイスベンダーの活動が活発化しつつあるとする。市場は2023~2028年の期間、CAGR 43%と急速に成長し、2028年には672億円規模になると見込む。
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