このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第124回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月24日~3月1日

ネット利用は「スマホのみ」54%、今後5年のAI動向予測、音楽ストリーミング国内市場動向、EVへの消費者関心弱まる、ほか

2024年03月04日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2月24日~3月1日)は、今後5年間のAI動向予測、日本のユーザーのインターネット利用環境、2024年のサイバーセキュリティトレンド、成長する音楽ストリーミング配信市場、電気自動車(EV)に対する消費者意識についてのデータを紹介します。

[AI][トレンド]今後5年のAI動向予測:2025年までにRAGとの組み合わせが進み、2028年ごろにはAGI(汎用AI)の実験が?(IDC Japan、2月28日)
・2025年までに企業は生成AI+RAGでセルフサービスのナレッジディスカバリを作成
・2026年までにクラウド事業者などが生成AIの安全性とガバナンスをサービスにバンドル
・2028年までに一定数の企業が社会に変革的な影響を与えるAGIシステムを実験

 2024年以降の、世界・国内のAIの取り組みや課題に関する10大予測。上述した3つのほか、2026年までに地域を横断するAIの法規制が多国籍企業の課題になる、2027年までに生成AIアシスタントは企業アプリとのやり取りのインターフェイスになり、顧客エンゲージメントなどのビジネスプロセス運用にも利用される、2025年までに国内企業は生成AIの「成果」に基づく自動化戦略へシフトする、2027年までにコアIT支出の一定以上をAIの取り組みに割り当て、製品とプロセスのイノベーション率を高める、といった予想も出ている。

[消費者]インターネットの利用環境の最多は「スマホのみ」で54%、シニアと女性で増加が顕著(LINEヤフー、2月28日)
・インターネット利用環境は「スマホのみ」が54%で最多
・過去3年間の推移で「スマホのみ」が増加、女性は66%が「スマホのみ」
・シニア層で「スマホでのネット利用者」が増加。60代は86%、70代は65%

 同社が6ヶ月ごとに行っているインターネット利用の定点調査より、2023年下期(10月)の結果。週1回以上のインターネット利用者(15~79歳)の環境は、スマホが91%、PCは38%で、構成比では「スマホのみ」が最多の54%に。併用は37%だった。過去3年間の推移では「スマホのみ」が増加傾向に。性別では女性は66%が「スマホのみ」となった。年代別では、60代以上のシニア層で「スマホ」でのネット利用の増加が顕著になった。

スマホ/PCのインターネット利用者の実態。「スマホのみ」が54%で最多(出典:LINEヤフー)

2021年からの推移、男女別(出典:LINEヤフー)

2021年からのスマホ利用の推移、年代別(出典:LINEヤフー)

[セキュリティ][トレンド]2024年のセキュリティトレンド:生成AI、セキュリティ投資と保護レベルを結びつける成果主義型の評価など(ガートナージャパン、2月27日)
・サイバーセキュリティでも「生成AIの急速な進化に備える」必要あり
・セキュリティ戦略への信用は低下、成果主義型の評価指標(ODM)が求められる
・2027年までに大企業の50%が人中心のセキュリティ設計プラクティスを採用へ

 2024年のサイバーセキュリティのトップ・トレンドとして6つを挙げた。1つ目の生成AIについては「ChatGPTなどのLLMは始まりに過ぎず、今後の急速な進化に備える必要がある」とする。2つ目のODM(アウトカム・ドリブン・メトリクス)とは「経営陣とセキュリティへの投資を策定するにあたって、合意した保護レベルを経営陣にわかりやすい言葉で表現する」というアプローチ。これにより、幹部と現場のコミュニケーションギャップを埋めることができるとしている。3つ目では「セキュリティ行動/文化促進プログラム(SBCP)」として、意識向上から行動変化の促進へとフォーカスを移すことでセキュリティリスクを低減できるとしている。

[消費者][ストリーミング]音楽ストリーミング再生回数、2023年は前年比14%の増加(GfK Japan、2月29日)
・2023年の音楽ストリーミング再生回数は前年比14%の増加
・「アイドル/YOASOBI」が5億回以上で最多の再生回数
・セル映像ソフト市場は、金額は前年比3%増、数量は同3%減

 2023年の日本における音楽ストリーミング配信市場概況とセル映像ソフトの販売動向より。音楽ストリーミングは2023年、前年比14%増となった。「アイドル/YOASOBI」が5億回以上の再生回数となったほか、6タイトルが2億回以上再生された。ジャンル別構成比では、邦楽が81%(前年比1ポイント増)、洋楽5%(同1ポイント減)、アジアは13%となった。DVD、Blue-ray、4K Blu-rayなど全てを含む映像ソフトの市場は2023年、金額は前年比3%増の1246億円、数量は同3%減。市場全体の平均実売価格(税抜)は6041円で、前年から6%上昇している。

音楽ストリーミング配信の再生回数。2023年は前年比14%増加(出典:GfK Japan)

ジャンル別再生回数の構成比。左が2022年、右が2023年(出典:GfK Japan)

映像ソフトジャンル別金額構成比(出典:GfK Japan)

[EV][消費者]EVへの関心は弱まる、日本は現保有車へのロイヤルティが高い(デロイト トーマツ グループ、2月29日)
・日本ではBEV(電気自動車)への関心は6%、前年比5ポイント減少
・BEVへの最大の懸念点は「充電」(48%)
・ブランドの乗り換え意向は日本35%、米国51%、インド78%

 日本、米国、ドイツ、インド、中国、韓国、東南アジアの7地域の消費者意識をまとめた「2024年 デロイト グローバル自動車消費者調査」より。電気自動車(BEV:電気自動車、PHEV:プラグインハイブリッド)への関心は弱まる傾向にあり、次に購入する車両のタイプとして、日本では「ガソリン/ディーゼル車」が34%と増加、一方でBEVは前年比5ポイント減少の6%に。BEVに対する懸念点は「充電時間」「航続距離」「コスト」「バッテリーの安全性」などが上位に挙がった。

次に購入する車両のパワートレインタイプ(日本)。ガソリン/ディーゼルが増加し、BEVは減少(出典:デロイト トーマツ グループ)

現保有車とは異なるブランドの車に乗り換えを検討する比率。日本は最低の35%となった(出典:デロイト トーマツ グループ)

カテゴリートップへ

この連載の記事