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石川温のPCスマホニュース解説 第93回

ドコモ値下げはデメリットへの覚悟が求められる

2020年10月07日 09時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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●ネットワーク品質が落ちる可能性も

 また、今回の値下げ騒動を機に、各社ともネットワーク品質が落ちてくる可能性がある。菅首相は「日本の携帯電話料金は世界に比べて高い」と言うが、日本より安い国は「圏外が多い」「通信速度が遅い」など、ネットワーク品質が低いぶん安いというカラクリがある。

 日本でも値下げありきの改革が進むと、ネットワークへの投資が抑えられ、結果として、品質の低下は避けられないだろう。もちろん、災害発生の復旧作業も時間がかかることになりそうだ。

 政府は6G時代に向けて「日本の国際競争力を取り戻そう」と旗を振っているが、値下げして収益が悪化すれば、次世代に向けた研究開発費も削られることになる。すでに中国、アメリカ、韓国には5Gで2周ほど遅れているが、これで下手をすると周回遅れになる可能性もありそうだ。

 菅首相は「料金値下げ」と「デジタル化」を政策の柱にしているが、値下げが実現すれば、キャリアの研究開発や設備投資ができなくなり、結果としてデジタル化が遅れることになる。2つの政策はまさに矛盾している。強制的な値下げが実現することで、日本のデジタル化の遅れは決定的になるといえそうだ。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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