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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第455回

第1世代と第2世代Ryzenの違いは微小 AMD CPUロードマップ

2018年04月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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X470チップセットのメリットは消失

 最後にX470チップセットに関して説明しよう。当初それとなく聞いていたのは、X470でいろいろオーバークロック機能を充実させるという話であったが、これはRyzen Masterの方に移動してしまったようだ。

Version 1.3ではCCX単位でのオーバークロックなどが追加されている。またPrecision Boostのプロファイル変更も(将来提供とされつつも)用意される模様

 これらはX370でも利用可能な機能であり、そうなると2018年1月のCES Tech Day 2018で示した“Optimized for 2nd Generation Ryzen CPUs”はナニ? という話になってしまうのだが、ぶっちゃけなにもないことになる。

CES Tech Day 2018でAMD示したX470チップセットの特徴。「第2世代Ryzenに最適化」とあるが、その機能はRyzen Masterに移動するのでX370でも利用可能となる

注目はアクセスを高速化する「StoreMI」

 その代わりといっては何だが、新しく追加された機能がStoreMIである。その正体は、連載441回で解説したEnmotusの提供するFuzzDriveである。

高速小容量なストレージと低速大容量なストレージを組み合わせてアクセスを平均的に高速化するツール「StoreMI」。インテルのRST(Rapid Storage Technology)に近い

 連載441回の時点では「Ryzen/Ryzen ThreadripperのシステムではFuzzDriveを無料で利用できる」という話だったが、実際にはFuzeDrive Basicは19.99ドル(フル機能のFuzeDrive Plusでは59.99ドル)という価格だった。ところがX470ではこのFuzeDrive Basic相当の機能が無償で利用できるようになっている。

 これは、従来のSATA HDDとNVMe SSD/SATA SSDを組み合わせ、このNVMe SSDやSATA SSDをキャッシュとして利用することで、SATA HDDの高速化を図るというものだ。

ここには256GBのSSDまでサポートとあるが、FuzeDrive Basicは128GBまでのサポートで、このあたりの整合性が取れてないのが気になるところ

 またメインメモリの一部(最大2GB:FuzeDrive Plusなら最大4GB)をキャッシュに割り当て可能で、この場合はさらに性能が改善するとされる。

 実際にAMDによれば、ゲームのロードが2.8倍、アプリケーションの起動が9.8倍になるほか、アクセス性能も大幅に改善するとしている。

StoreMIを使えばゲームのロードが2.8倍になる。インテルは中国でCore i7+の性能を示すのにFF14ベンチのローディングタイムを使っていたが、同じことをやるとどうなるか興味がある

アプリケーションの起動は9.8倍。これはPCMark 10のApplication Loadingテストを利用しての結果だそうだ

Iometerを利用して1MBのリード/ライト性能を比較したもの。StoreMIは、このようにアクセス性能も大幅に改善するという

 もちろん最初からシステムがNVMe SSDだけ、あるいはSATA SSDのRAIDで構築されているユーザーには必要ない機能であるが、一般的にはブートドライブはSSDでもデータドライブはHDDというユーザーは多いはずで、こうしたユーザーにはStoreMIはわりと良いソリューションになりそうだ。

 なお、StoreMIではシステム中に一組しか構築できないので、たとえばHDDが複数台あって、これを全部高速化したい場合はStoreMIだけでは無理で、FuzzDrive Plusのライセンスキーを購入してインストールする必要があるそうだ。

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