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最新パーツ性能チェック ― 第232回

タダでHDDがSSD並みに高速化!Ryzen&X470の「StoreMI」検証結果

2018年06月28日 12時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ

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 第2世代Ryzenと同時にリリースされたSocket AM4用のチップセットといえば「X470」だ。PCI-ExpressやUSB周りの仕様はX370と同じだが、第2世代Ryzen(X型番のもの)に搭載されている新機能「Precision Boost Overdrive」と、ストレージ高速化技術「StoreMI」への対応が追加されている。

 5月下旬時点において、前者はRyzen Masterの対応待ちなのか正式リリースされておらず、後者は発売日にAMDの公式サポートページでドライバーがリリースされたものの、詳しい資料などは未公開。多機能なX470を購入するかどうかを迷っていた人にとっては、いささかフラストレーションのたまる状況であった。

 Precision Boost Overdriveは対応BIOSの実装も必須らしいため、まだ試すことはできない。そこで今回はAMD公式サイトで提供済みのStoreMIの効果について検証してみた。

5月下旬時点では、主要マザーメーカーのサイトにStoreMIのDLリンクは存在しない(左図はASRockのもの)が、AMDのサポートサイト(右)で最新チップセットドライバーを検索すると、StoreMIがDLできるリンクが見つかる

中身は「FuseDrive」と同じ

 いきなり結論から述べてしまうが、StoreMIとはEnmotus社が開発した「FuseDrive for AMD」そのものである。ASCII.jpに掲載されている大原氏の記事で紹介された通り、FuseDriveは無償で提供されるはずだったのだが、リンク先では19.99ドルで購入することになっている謎な技術であった。しかし、これがX470マザーボードとライセンス(X470のハードウェア的なアシストもあると思われる)と紐づける形で無償利用できるようにしたのがStoreMIなのだ。

StoreMIはHDDにSSDやDRAMキャッシュを加えて高速化するという機能

 ここで改めてStoreMIを紹介すると、SATAやNVMeのSSDをHDDのキャッシュとして運用することで、HDDの容量単価の安さを活かしつつ、SSDで高速化するというものだ。インテルがZ68以降のチップセットの一部に実装しているISRT、すなわち「Intel Smart Response Technology」のAMD版ともいえるが、StoreMIは後発製品だけにいくぶん使い勝手がよくなっている。主要なものを箇条書きにしてみた。

【1】起動ドライブでもデータドライブでも高速化が可能

 ISRTはOSの起動ドライブしか高速化できないのに対し、StoreMIはデータドライブも高速化できる。StoreMIで高速化できるHDDとSSDの組み合わせはひとつだけであり、2つ以上高速化したければ有償版FuzeDrive Plus(65ドル)を購入する必要がある。

【2】キャッシュとして使うSSDは256GBまで

 ISRTのキャッシュ用SSDは64GBまでという制限があったが、StoreMIは最大256GBのSSDが利用できる。ちなみに19.99ドルのFuseDriveは128GBまで、59.99ドルのFuseDrive Plusなら1TBのSSDまで対応できる。

【3】SSDの容量増にも利用できる

 ISRTはHDDにOSを導入し、そこにSSDを追加する必要があるのに対し、StoreMIではHDDとSSDのどちらにOSが入っていてもよい。つまり「HDDの速度が不満だからSSDをキャッシュとして追加」という状況のほかに、「SSDの容量が心配なのでHDDをフュージョンさせたい」という状況でも使える。どちらも結果としてHDDの容量(+α)とSSDのスピードを兼ね備えたドライブが出来上がるわけだ。

 また、OSをインストールしてからStoreMIを導入することになるので、StoreMI前提の設定をする必要もない。導入の敷居は比較的低いと言えるだろう。

【4】容量は増える

 StoreMIでは結合したドライブのことをTierドライブ、そしてその中で遅い方のドライブを“Slow Tier”、速い方を“Fast Tier”と呼ぶ。そしてSlowとFastを結合させてできたTierドライブの容量は、元のSlowドライブより大きくなる。ただFastの容量分だけ増えるという単純なものではないようだ。

【5】StoreMIを解除して元に戻すことができる

 Tierドライブは好きなタイミングで解除し、元の単体ドライブに戻すことができる。ただ完璧な現状復帰というわけではなく、ある程度着地点が制限された復帰になる。これは後ほど事例を交えて解説しよう。

【6】メインメモリーをキャッシュとして追加できる

 Tierドライブの基本は、Slow Tierなドライブの性能をFast Tierなドライブで高速化する、というものなのでSATA SSDにNVMe SSDを組み合わわせるという運用も可能だ。だがこれにも限界があるので、最大2GBのメインメモリー(StoreMIでは“DRAM”と呼ぶ)をキャッシュに加えることができる。

 メインメモリーをSSDのキャッシュにするというのは主要なSSDメーカーが提供している機能のひとつ(例:CrucialのMomentum Cacheなど)でもあるため、特に珍しいものではないが、上を狙いたい人にとっては魅力ともいえる。

CドライブをTierドライブに結合した場合、ひとつの大きなCドライブとして扱うことができるようになる。どこにデータが入っているか気にする必要はない

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