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ブロックチェーン技術を活用しながら“プライバシー保護”の課題解決か

ブロックチェーンの弱点を克服するための医療情報実験が完了

2018年01月30日 19時00分更新

文● 江幡/ASCII

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 Planetway Corporationは1月15日、同社が持つ高いセキュリティーのデータ連携技術を、東京海上日動火災保険株式会社がブロックチェーン技術と組み合わせ、医療情報連携の実証実験で活用、実験が完了したと発表した。

 東京海上日動は、エストニアの国民番号制度を支える、高セキュリティー技術を適用したデータ連携基盤「avenue-cross」と、従来のブロックチェーン技術を組み合わせたモデルを、医療情報連携に活用する実証実験を実施。ユーザーの保険金請求に関わる医療情報を、ブロックチェーンを通じて医療機関に要求し、avenue-crossを通じてデータを受領することで、医療情報に対するセキュリティーを確保しつつ、保険金支払業務の簡略化・迅速化が実現可能かを検証したとする。

 本実験により保険会社と医療機関の間で、契約内容や医療情報などの重要データが、安全を担保したうえで連携することに成功。将来的な保険金支払いの簡略・迅速化の可能性を示せたという。

 またブロックチェーンとavenue-crossの組み合わせによって、ブロックチェーンの弱点であるプライバシー保護の課題解決に有用であることを確認。保険金の支払い業務以外の秘匿性の高いデータを扱う領域でも、業務効率化やユーザーの利便性向上につながる可能性があるとする。

 ブロックチェーンは、決済や取引の自動化など様々な領域での活用が見込まれる技術として非常に高い注目を集めている。だがブロックチェーンにおける暗号化技術の利用は偽造・改ざんを防止するためのもので、取り扱うデータそのものは暗号化されていないことから、機密情報や個人情報などを扱う上で課題があるとされている。

 特に、保険業務で取り扱う契約内容や医療情報など、長期にわたって非常に高い秘匿性が求められる領域での活用に向けては、通常の暗号化での対応では不十分であり、新たな技術による課題克服が求められているとする。

 本実験を通して、秘匿性の高いデータを扱う領域におけるブロックチェーンの活用可能性が示せたことから、今後、東京海上日動は、幅広い分野でのブロックチェーン活用による新たなユーザー価値の創出や革新的な業務効率化を検討するという。

 また、avenue-crossに代表される秘匿性の高い情報連携が可能なプラットフォームが広く活用されることが、ユーザーをはじめとしたすべてのステークホルダーへの安心と安全の提供につながるととらえ、継続して新しい技術の活用を積極的に進めながら、広く社会全体へ貢献していくことを目指すとのこと。

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