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今年は松山!JAWS FESTA 2017レポート 第7回

JAWS FESTAで友岡賢二CIOがぼっちに熱いエール!

武闘派CIOが「コミュニティに参加する理由」を経営理論からひもとく

2017年11月27日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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大手企業の情シスはなぜシステムを外部に丸投げするのか?

 経営理論からコミュニティ参加を正当化するという前半に引き続き、後半は「情シスはなぜ外部に丸投げなのか?」という話に移る。ここで友岡さんは持論である「CIO不在」の現状を訴える。「調査会社のレポートでは、日本には10%くらいしか専任のCIOはいない。これって問題」(友岡さん)。友岡さんもフジテックに入ったときはCIO職がなかったため、情シス部長は経営に提出するレポートのうち、与えられたのはExcelの3行だけだったという。「CIOがいないと役員会でちゃんとITの話ができない。役員にITの人にインプットを与えられない」とのことで、いろいろなところで登壇しているという。

 一方で、SIerに向けてはなぜユーザーの意思決定が遅いのかを説明する。大企業では情シスも本社と事業部の2階層になっており、インフラ・セキュリティ、アプリケーションをそれぞれ別々に管理していることが多いという。しかし、クラウド時代になると、この構造に無理が生じてくる。「本社の情シスはせっかくデータセンター作ったんだから使ってくれないと困ると言う。事業部がクラウドを使ってもデータセンターの負担は税金のように案分されてしまうので、コストダウンにならない。この構造が日本の大企業をダメにしている」と友岡さんは指摘する。

本社と事業部情シスの2階層が意思決定を遅くしている

 友岡さんの提案は、本社の情シスの薄くし、事業部の情シスに本質的な意思決定を集中させ、合議制でITを回すこと。基幹システムにしか興味ない情シスも多いが、基幹システムはあくまでバックオフィスであり、工場でモノを作り出しているメンバー、販売しているメンバーなど、付加価値を生んでいる現場をサポートすべきというのが情シスの役割というのが友岡さんの意見だ。

 いわゆる情シス子会社に関しても同様で、外できちんと稼いで来られない情シス子会社との関係は一度見直した方がよいという。では、どのように見直すか? 友岡さんはここでも「資源依存理論(Resource Dependency Theory)」というフレームワークを持ち込む。ここでいう資源とはいわゆる部品や技術のほか、金銭、情報、正当性(ブランド力)などを指し、これらの依存関係に着目すると情シスも丸投げ体制から脱却できるという。対抗策としては、新規ベンダーを開拓し依存度を下げる「抑圧の軽減」、依存度の高い相手企業を役員として取り込む「抑圧の取り込み」、M&Aなどを「抑圧の吸収」などの方法があるという。

資源依存からの脱却には大きく3つの方法がある

 実際に友岡さんはこうした方策によってベンダーの依存関係を見直してきた例も見てきたという。「情シス子会社が外部で食べていけるのであれば、配当のリターンという形でメリットを得られる。もし依存率が高ければ、中に取り込んで情シスを新たに作った方がよい。でも、その場合は内製化してください」と友岡さんはアドバイスする。

 友岡さんはその他、業務に役立つフレームワークをいくつか紹介する。1つめは「働きアリの法則」。これはよく働くアリは全体の2割しかおらず、6割は普通に働き、残りの2割はあまり働かない「2:6:2」の理論、あるいは「2:8」の理論として知られている。働きアリの数を減らしても、しばらくするとこの割合は変わらないという。

働くアリは全体の2割という働きアリの法則

 その他、友岡さんが紹介したのは、テクノロジーの導入層をイノベーターやアーリーアダプターなどに分類し、製品やサービスの普及期について考えた「キャズム理論」や全体のスループットを最適化する方法論である「TOC理論」、企業にとってのイノベーションとの関係を論じた「イノベーションのジレンマ」などいわゆる定石のフレームワーク。これらを組み合わせることで、情シスのクラウドの浸透や働き方改革の推進、ITソリューションの提案などにおいて、さまざまな戦略をとれるという。「こうしたフレームワーク組み合わせながら自分の思考を巡らせると、すごく整理がしやすい。思考のフレームを使って発想を豊かにすると、短時間で結論に至ることができる」と友岡さんはアピールする。

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