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最新パーツ性能チェック 第221回

ベンチマークによっては8C/16TのRyzen 7 1800Xすらも喰らう

やっぱり凄かったCoffee Lake-Sの物理6コア、Core i7-8700K&Core i5-8400徹底レビュー

2017年10月05日 22時01分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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 2017年10月5日、インテルは第8世代Coreプロセッサーに位置付けられるデスクトップPC用メインストリームCPUの発売に踏み切った。開発コードネーム「Coffee Lake-S」の名でウワサされていたCPUであり、プロセスルールは14nm++、インテルの最近の開発サイクル(プロセスシュリンク→新アーキテクチャー→オプティマイゼーション)で言えば、最後の“オプティマイゼーション”のフェーズにあたる製品となる。

 オプティマイゼーションという言葉の響きからは、Haswell(第4世代Core)がHaswell Refreshになったように、単なるクロック増分しただけのマイナーチェンジのような印象を受けるが、今回のCoffee Lake-Sは遂に全ラインナップにおいて物理コアを増やすという大改変となった。

 発表自体は9月25日だったが、今回はCoffee Lake-Sの最上位モデル「Core i7-8700K」及びミドルクラスの「Core i5-8400」のエンジニアリングサンプル(ES版)を入手することができたので本稿ではレビューをお届けする。日本国内での発売はグローバルよりも遅くなること(2017年第4四半期)が決定しており、今回日本では正式流通がないままのベンチマーク情報公開となった。国内発売までぜひ今回のファーストレビューで買うモチベーションを高めて頂きたいところだ。

今回入手した「Core i7-8700K」(左)及び「Core i5-8400」(右)のES版。形状は従来のCoreプロセッサーと同じ(LGA1151)だ。

こちらも左がCore i7-8700K、右がCore i5-8400。背面の電極(ランド)の配置も従来のLGA1151と同じ。ただし、Kaby Lake-S(第7世代Core)では使っていないピンを電源用に使っているため、旧世代のマザーボードとの互換性は消えている。

全モデルで物理コアが2基増量

 では第8世代Coreプロセッサーのラインアップを見てみよう。製品の数は下表にある通り、Core i7/i5/i3でそれぞれ2モデルずつ、合計6モデルだ。

Core i7の新旧スペック比較表。参考までに今夏発表されたCore Xシリーズから、6コア/12スレッドのCore i7-7800Xも入れてみた。

Core i5の新旧スペック比較表。

Core i3の新旧スペック比較表。

 上のスペック表から読み取れるCoffee Lake-Sのポイントについてまとめると、以下のようになる。

(1)全ライン(i7/i5/i3)で物理コア数はKaby Lake-S世代より2基増加
(2)i3はハイパースレッディング廃止
(3)物理6コアモデルの定格クロックは引き下げ

 Coffee Lake-Sにおける最大のポイントは全ラインで物理コア数が2基追加され、Core i3でも4コア/4スレッドでCore i7では6コア/12スレッドになった。これまでインテルCPUは4コアがスイートスポットだと言っていたが、Core i7はよりメガスレッド志向に進化したことになる。

 一方、動作クロックに関しては物理6コアのCore i7とi5については定格クロックはすべて引き下げられた。コア数が増えて消費電力が上がったから当然の処置と言えるが、Core i7-8700は定格3.2GHzと、TDP65Wをクリアーするためにかなり低く抑えられている印象だ。

 だが、ターボブースト時のクロックについてはKaby Lake-S世代よりもむしろ微増している。特に最上位のCore i7-8700KではTB2.0時の最大クロックが4.7GHzと歴代最高を記録している点に注目したい。

「CPU-Z」で今回入手したCore i7-8700K(左)およびCore i5-8400(右)の情報を拾ってみた。右下のCoresは「6」、すなわち物理6コアCPUであることを示している。

タスクマネージャーでもしっかり6コア/12スレッドや6コア/6スレッドであることを確認。図はCINEBENCH R15のマルチコアテスト実行時のもので、クロックはCore i7-8700K(左)で4.2GHz近辺、Core i5-8400(右)で3.8GHz近辺で動作していることがわかる。

(4)OC可能なK付きモデルは従来通り各ラインにつき1モデル
(5)K付きモデルはTDPがやや高い

 この辺は前世代と共通だが、今回のCore i3のK付きモデル(8350K)は定格クロックが1世代前よりわずかに下がったが、逆にTDPは60Wから91Wへ激増している。これがOCにどう影響するかは発売されてからのお楽しみだ。

(6)ソケットはLGA1151
(7)チップセットは当面Z370のみ

 今回、物議を醸し出しそうなのがチップセット(マザーボード)の対応だ。Coffee Lake-SのソケットはKaby Lake-Sと同じLGA1151で、CPU裏面のランド数も共通。ランドの配置を大きく換えたとのウワサもあったが、海外サイトでは従来“Reserved”に指定してあったものを電源用に追加した程度の変化という調査結果も出ている。物理4コアが6コアになり、消費電力が増えたぶんを電源ピンの増加でカバーしたという話だが、これによりIntel 200シリーズチップセットと互換性が消失。さらに、Coffee Lake-S用のマザボードではKaby Lake-Sはファームウェア的に動作不適とされるという話のようだ。

 で、Coffee Lake-S用のチップセットは新しくIntel 300シリーズのナンバーが割り振られるが、当面流通するのはK付きモデルのOCに対応するZ370のみで、安価なH系、B系などは来年以降の発売となる見込み。

(8)Core i7/i5の対応メモリーはDDR4-2400から2666へ増速
(9)内蔵GPUは「Intel UHD Graphics 630」へ
(10)CPU内蔵のPCI Express 3.0は16レーンで据え置き

 微妙な変更点と据え置きになった点は3つ。まず、メモリーはRyzen 7でも対応しているDDR4-2666へ増速した。また、内蔵GPUは“HD 630”が“UHD 630”に進化したが、内部的な設計やEU数はKaby Lake-S世代と何ら変わっていない。CPU内蔵のPCI Expressのレーン数も16レーンのまま。この辺に手をつけるとCPUそのものの設計をやり直すことになるので、オプティマイゼーションフェーズの製品としては当然の判断と言える。

内蔵GPUの情報を「GPU-Z」で拾ってみたものの、GPU-Z側がCoffee Lake-Sに未対応なため型番程度しか見るべきものはない。

(11)1000個ロットあたりの価格は8700Kと8600Kを除き据え置き

 そして、重要なのは価格設定だ。1000個ロットあたりの価格はほぼKaby Lake-S世代から据え置きだが、売れ筋のCore i7-8700KとCore i5-8600Kのみ15~20ドル上乗せされている。

 ここで注目したいのはエンスージアスト向けラインであるCore Xシリーズの6コアモデルである「Core i7-7800X」との関係だ。このロット価格ではCore i7-8700KのほうがCore i7-7800Xよりも安く設定されている。メモリーチャンネル数やPCI Expressのレーン数、さらにIntel VROCへの対応などエンスージアスト向けな要素が強いSkylake-Xのほうが付加価値が高いということなのだろう。しかし、動作クロックでは圧倒的にCore i7-8700Kのほうが高い。このあたりが性能にどう影響するかも見どころだ。

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