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JAWS-UG東北勉強会レポート 第8回

いよいよ3日目!「青森観光アプリ開発コンテスト アマゾン×青森屋」レポート後編

青森観光アプリ開発コンテスト、緊迫の選定結果をこの目で見た

2017年01月24日 07時00分更新

文● 重森大

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その他の賞のゆくえは? そして今後の展開について発表も

 企業賞に続いて、企画賞の発表が行われた。プレゼンターは、青森県商工労働部の羽原さん。もはや定番と化したクチドラムロールと共に、受賞者が発表された。

「だららららららららららららららら……じゃん! 企画賞は、recipe cupidです!」(羽原さん)

recipe cupidで企画賞を受賞したのは小久保 温さん

 recipe cupidという企画を発表したのは、青森大学の企画チーム最後の発表は、青森大学の小久保 温准教授。他のチームは数名で構成されているが、小久保氏はひとりで1チーム。学生の引率で来たが、同じチームに属すのではなく、独りで企画を練ってきたというツワモノだ。

 テーマは、青森の「食」がとりもつ人生の伴侶との出会い。つまるところ、青森屋で東京のエンジニアと青森の女性とで合コンしようぜ!という、大学の教員とは思えないハジけた企画だ。青森の女性が作り慣れ、食べ慣れている郷土料理は、関東の人から見れば知らない美味なものばかり。じょっぱりとも言われる青森女性の強情な気性も、見方を変えればツンデレであり、方言もかわいい。小久保さんは青森女性へのリスペクトに熱を込める。

青森の女性と東京のエンジニアとの合コンという、突き抜けた企画のインパクトは強かった

 企画の具体的内容は、青森屋での料理体験。Aomori Flavorsと似ているが、男女のグループで料理を作るというのがポイント。調理の主体は女性だが、それをどう手伝ってくれるのか、後片付けまできちんとできるのか、料理を通じて男性を見極めるポイントは多い。一方男性の方は自分の好きな食べ物や酒などを持参する。お互いに好きな味を提示し合うことになり、味の好みが近い異性とのマッチングが可能というわけだ。うまくカップルが成立した暁には女性は東京に出て行ってしまうかもしれないが、青森県にはIターン支援の施策も多く、家族を連れて青森に戻ってきてもらえる可能性もある。

 そもそもなぜ合コンなのか。そこにはきちんと理由があった。青森屋は高級リゾートであり、既存顧客の年齢層も高い。新規顧客を開拓するには、別の年齢層でしかもある程度の収入を得ている人をターゲットにすべきだ。たとえば、東京で消耗している独身エンジニア。婚活パーティで女性と一緒に料理をするイベントなら、張り込むに違いないと、小久保さんは言う。

東京のエンジニアの気分でと、「なれるSE」の特典Tシャツで熱弁をふるった小久保さん

 この企画は発表時から審査員のウケが非常によかった。齊藤さんは「普通のピッチコンテストでビジネス企画として出せば出資してもらえそう」と言い、渡部さんも「将来性やビジネスの可能性を感じる」と語った。県の職員でU/Iターンの施策も知る羽原さんも「実際に、奥さんが青森出身という理由でIターンする人は多い。青森屋で合コンというのは話題性も高いので、実現すれば参加者は集まりそうな気がする」と感想を述べた。企画賞選定の決め手となったのは、パンチ力の強さだった。

「企画賞は審査員の投票で決めようと思ったのですが、票が割れてしまいました。そこで話し合いをした結果、企画のパンチ力、インパクトの強さでrecipe cupidに決定しました」(羽原さん)

 企画賞の副賞は、クックパッドのマイバッグと、青森の地酒詰め合わせ。小久保さんはあまりお酒を飲まないそうだが「嫁が飲むので、うれしいみやげができました」と語った。

 青森屋やクックパッドから提供されたデータをうまく活用したチームにオープンデータ賞を贈る予定だったが、残念ながらこちらは該当なし。しかし代わりに、特別賞が用意された。受賞したのはチームメガネ。その名前の通り、メンバー全員がメガネをかけているチームだ。青森屋の従業員とFacebookを通じて交流できるようにし、旅行後もつながることでリピーターを獲得するという企画を提案した。

急遽用意された特別賞を受賞した、チームメガネのみなさん

 チームメガネがターゲットにしたのは、ずばり台湾人。年々縮小する国内旅行市場よりも伸び代のあるインバウンド、中でも生涯の訪日回数が8回から9回に及ぶと言われる台湾人にターゲットを絞っている。アプリとしての仕組みは単純で、従業員がFacebookプロフィールページのURLを発信するビーコンを持ち歩く。近くに行けば自動的にFacebookページのURLがスマートフォンに届くので、気になる従業員に友達申請を送るというもの。

従業員に近づくとFBのアカウントがもらえる

 とはいえ、従業員各個人にFacebookの運用を任せるのは負担が大きく、女性従業員の場合はストーキングなどの恐れもある。そこで、複数のFacebookアカウントを一括管理できるアプリの活用を提案。青森屋としての一元的な情報発信が可能になるとともに、つながったともだちの年齢や性別など属性に応じた情報発信も可能になるとした。

従業員アカウントを一括管理できるアプリを使い、発信する情報の統制を取る

「従業員だけではなく、敷地内にある旧澁澤亭に近づけば説明ページのURLが飛んでくるようにするなど、物や場所に紐づけることで活用を広げられる」(チームメガネ)

 こうした発展性が齊藤さんの琴線に触れたようで、「青森屋は雰囲気を重視して、館内案内をあえて日本語だけにしてある。ビーコンをうまく使えばこれらの案内を外国語でスマートフォンに表示するなど、発展性がありそう」だと讃えた。

 最後に発表されたのが、参加者が選ぶオーディエンス賞。こちらはチームKBSとの二強争いとなったが、最終的に勝利したのはチームnecco。AWS賞とのダブル受賞となった。プレゼンターである羽原さんから贈られたのは、青森県産のお米「青天の霹靂」。さすがに重いので、後ほど人数分を郵送しますとのこと。ちなみにチームneccoは、秋田県からの参加ということで、羽原さんは「あきたこまちにも負けないと自負しておりますので、ぜひ青森のお米も味わってみてください」とアピールしていた。

オーディエンス賞に選ばれたチームneccoには青森県産のお米が贈られた

 これで各賞の発表は終了。残念ながらチーム未定は無冠に終わったが、短時間のハッカソンですべての優劣が決まる訳ではない。この経験を生かして今後どのように成長していけるかで、ハッカソン参加を有意義なものにできるかどうかが決まる。そのためのアフターイベントも用意されているとのことで、希望者に向けてアナウンスが行なわれていた。アフターイベントも含め、あらゆる機会を通じてJAWS-UGメンバーたちのさらなる研鑽と成長に期待したい。

最後に皆で記念撮影! そう、ギークたちの戦いはまだ始まったばかりだ……!

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