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JAWS-UG東北勉強会レポート 第8回

いよいよ3日目!「青森観光アプリ開発コンテスト アマゾン×青森屋」レポート後編

青森観光アプリ開発コンテスト、緊迫の選定結果をこの目で見た

2017年01月24日 07時00分更新

文● 重森大

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緊張の授賞式 各企業賞にはどのような企画、アプリが選ばれたのか

 今回の青森観光アプリコンテストで用意されたのは、協賛各社から与えられる各企業賞とオープンデータ賞、そして審査員のハートを掴んだチームに与えられる特別賞、加えて、参加者自身が選ぶオーディエンス賞がある。

 まず発表されたのは、AWS賞。プレゼンターはアマゾンウェブサービスジャパンの齊藤さんだ。ドラムロールなど効果音の用意はなかったので、表彰する齊藤さんの指示に従って参加者たちが口でドラムロールを演じる。

「だららららららららららららららら……じゃん! AWS賞は、チームneccoのみなさんです!」(齊藤さん)

AWS賞を受賞したのは、チームneccoのみなさん

 チームneccoはアプリチームのひとつで、「体験をもう一つ多く」をコンセプトにしたアプリ「青森屋Watch」を作成した。このコンセプトはチームメンバーが宿泊中に体験した課題を解決すべく企画、作成されたものだった。青森屋には多くの施設、イベントがある。「食事は何時からだっけ?」「お風呂は何時までだっけ?」「元湯行きのバスはいつ来る?」こうしたことがすぐにわからず、見逃してしまったイベントやショーもあったとのこと。

青森屋Watchのコンセプトはチームneccoメンバーの実体験がベースになっている

 「青森屋Watchがあれば、タイムラインで食事やイベントの時間がわかります。同じ時間に別の食堂が営業していることがわかったりイベントが開催されていることもわかるので、お風呂を済ませてから食事をし、その後にショーを楽しんでから土産店を見ようといった具合に行動計画が立てられます。これで見逃しが減り、青森屋を2倍楽しめるという訳です」(チームメンバーnecco)

イベントを新聞のラテ欄のようにタイムラインとして確認できる

 青森屋Watchのベースは、AWS上にAMIMOTOの環境を展開してその上でWordPressを使ってWebアプリを作成。iPhoneアプリからはREST APIでWordPressの情報を参照するようになっており、情報管理の一元化も考えられている。プレゼンテーションでは、WordPressにECプラグインや多言語化プラグインを追加することで機能拡張できると将来性も訴えた。

AMIMOTOを使って短時間で立ち上げたWordPressをベースにしネイティブアプリとも連動するシステム構成

 齊藤さんはこのアプリを「AWSのサービスや機能をよく理解して使ってくれた」と評し、AWS賞に推した。その他、渡部さんからも「夕食でのんびりしすぎてショーを見逃したという声をいただくことがある。そうした体験のロスを減らしたり、食事場所が複数あることを知ってもらってリピートや連泊につなげたりすることもできそう」と好意的な意見が挙がっていた。

 チームneccoには副賞としてAmazon Fire TV StickとAmazonギフトカードが贈られた。メンバーからは「いろいろなアイデアを思いついたが、コンセプトをわかりやすく絞ることを心がけたことが受賞につながったのでは」と、喜びの言葉が聞かれた。

受賞の喜びを語るチームneccoのメンバー

 続く企業賞は、クックパッド賞。クックパッドの小川さんがプレゼンターとして登場し、AWS賞と同様、会場からドラムロールが沸き起こる。

「だららららららららららららららら……じゃん! クックパッド賞は、Aomori Flavorsのおふたりです!」(小川さん)

クックパッド賞はAomori Flavorsが受賞

 Aomori Flavorsは、地元青森県で食に関する活動をしている2人のチーム。どちらも青森を拠点とし、食を軸にしたグローバルな活動をしている。発表された企画のタイトルは、「里山の郷土レシピからみつける、私だけの旅レシピ」。端的にいえば、青森屋で料理教室を開催し、青森の郷土料理を作って食べる体験をしてもらうというもの。

 Aomori Flavorsのお二人は日本語、英語に加えて青森の方言も話せるので、海外からの来訪者も含めた料理教室を開催可能だ。参加のきっかけづくりとしては、クックパッドに掲載されている青森の郷土料理レシピから、青森への旅行に行きたくなるような導線づくりを行なう。

人がなぜ旅をするのか、そしてなぜ同じ場所をもう一度訪れるのかというニーズを分析

 この企画には、「食は、人と人をつなぐグローバルツールである」「非日常体験、異日常体験をしたいから人は旅をする」「人とのつながりができると同じ場所にリピートしたくなる」という3つのポイントが含まれている。小川さんはプレゼンテーションの時点で強く興味を示しており、「旅行と料理が密接な関係を持っていて、そこにニーズがあることもわかっています。導線をどうするかなど、より具体的な手法に落とし込んでいくアイディアなど、もっと詳しく聞きたい」と意見を述べていた。

Aomori Flavorsが提案したクックパッドの新サービス

 受賞時にも改めて「企画の完成度や実現度が高く、クックパッドの新しい使い方を提案してくれた企画。実現に向けてぜひ継続協議していきたい」と、実現に向けた意欲を示した。これに対してAomori Flavorsも「この計画はずっと考えていたもので、認められたことがうれしい。実現に向けて力を入れていきたい」との言葉が聞かれた。

受賞の喜びを語る、Aomori Flavorsのふたり

 Aomori Flavorsの2人には副賞として、クックパッドのノベルティグッズやキッチングッズのセットが贈られた。中でもクックパッドのまな板は非売品でレア物とのこと。

 企業賞最後のひとつは、会場ともなった青森屋から贈られる青森屋賞。プレゼンターの渡部さんが登場し、定番となった参加者のクチドラムロールが始まる。

「だららららららららららららららら……じゃん! 青森屋賞は、チームKBSのみなさんです!」(渡部さん)

青森屋賞は、チームKBSが獲得

 チームKBSが発表したのは、「青森屋探検・これなにアプリ」というもの。ターゲットを小学生に絞り、青森屋の滞在を楽しんでもらいつつ青森についての学びにもつなげるというゲーム要素の強いアプリだ。特に目を引いたのは、敷地内に数多く存在する青森の魅力あふれる品々を解説してくれるAR機能。たとえば、アプリを起動したスマートフォンを壁に描かれた猛獣にかざすと、画面上に「ぬえ」と説明が表示される仕組みだ。

ARアプリのデモはわかりやすく、プレゼン時にもオーディエンスの心をつかんだ

 館内マップもただの地図ではなく、ヒントとなる写真が散りばめられており、そのポイントに行ってカメラをかざせば、同じようにAR機能を使って青森屋や青森の魅力を知ることができる。文章でヒントだけが示される、よりゲーム要素の強いミッションモードも用意され、「青森屋マークがついた消化器カバーを探せ」などのミッションをクリアすることでレベルアップし、さらに上級ミッションに挑戦できるという。100問ほどを用意することで、1泊2日では全レベルをクリアできず、リピートを促すことにもつなげる。

ヒントがちりばめられたマップと連動し、楽しみながら館内を散策できる

 渡部さんは企画発表時から、小学生にターゲットを絞り込んだことを評価していた。「青森のことを学んで、夏休みの自由研究がこれでできちゃう!なんてことになれば、集客につながりそう。毎年恒例の夏休みイベントにするなどいろいろな切り口が考えられる企画」と絶賛。受賞時にも「ぜひ実現に向けて、具体的な打ち合わせをしたい」と意欲を見せていた。

 受賞の感想を求められたチームKBSのメンバーは「実は最初は違う企画を考えていたのだけど、中間発表で原さんに酷評され、慌ててまったく違う企画に作り直した。当初の予定にはなかったAR機能のネイティブアプリへの実装など大変な面はあったが、がんばった甲斐があった」と語った。

ぜひ実現に向け進めたいと、渡部さんからの熱いメッセージが!

 チームKBSには副賞として、青森屋ペア宿泊券が贈られた。チーム全員分には足りないが「この企画が実現した暁には、改めてチームメンバー全員にプライベートでゆっくり青森屋を楽しんでいただくつもりだ」と、渡部さんから期待を込めたうれしい言葉もあった。

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