バンド未経験者、コアな音楽の洗礼を受ける
―― くっちーさんのバイオリンは?
くっちー 習いごとで子供の頃からやっていたんですけど、バンドはまったく経験がなかったんです。好きでライブを観に東京へ通ってはいたし、憧れはあったんですけど、自分なんてステージには上れないだろうなと思っていて。だから、てあしくちびるが初めてのバンドです。
―― てあしくちびるでライブのやり方を学んでいった?
くっちー そうですね。最初のライブは、kawauchiくんの曲にバイオリンを付けていただけなので、名前はバンドになったけど、見た人は「なんだろこの人」っていうか。ちゃんと見せられるものにはなっていなかったような気がして。その後、やっていく中で、少しずつ。
―― 始める前に観に行っていたのは、どんなバンドですか?
くっちー よく行っていたのが、アナログフィッシュとか。キング・ブラザーズとかにもハマって結構通っていたり、いろいろ観てました。
―― 雑食なんですね。
くっちー そうかもしれない。深く掘っていくタイプじゃなくて、行った先のライブでおもしろそうなフライヤーがあったら、そこに行くような感じです。それで、kawauchiくんと一緒にやるようになってからは、いろんな音楽をいっぱい聴かされて。
―― なにを聴かせたんですか。
kawauchibanri てあしくちびるをやるにあたって、まず最初に降神とブルー・ハーブ(THA BLUE HERB)。自分もラップの入り口は正統派ではないというか、ZAZEN BOYSの向井 秀徳さんのラップから入ったんです。アプローチの仕方が違うじゃないですか。いわゆるヒップホップの考え方というより、ラップ表現に興味があったんです。
くっちー あとはアニマル・コレクティヴ。てあしくちびるの音楽に取り入れたいと言われて。聴いたときには、なんだこりゃという感じだったんですけど、とりあえずそれを繰り返し聴いた覚えがあります。
―― ごめんなさい、そのバンドは知りません。
kawauchibanri アニコレはアメリカのインディーバンドで、2000年代前半くらいからのフリーフォークみたいな感じです。名前の通りトライバルな、野性的な感じの。さかのぼると、ポップで聴きやすくなったアモン・デュール※みたいな感じです。
―― あ、それなら52歳にもわかります。
kawauchibanri あとはノイとかノイバウテンとか。
※ アモン・デュール(Amon Düül)。1960年代末から70年代初頭に活動していた旧西ドイツのサイケデリックロックグループ
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