このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第43回

【後編】『KING OF PRISM by PrettyRhythm』西浩子プロデューサーインタビュー

10回観たい劇場アニメを作るには――こうして『キンプリ』はアトラクションになった

2016年03月22日 15時00分更新

文● 渡辺由美子 編集●村山剛史/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

『キンプリ』の名を世に知らしめたのは、Twitterにアップされた無数の「応援上映会」のレポートマンガだった。『キンプリ』を“アトラクション型アニメ”として送り出した西浩子プロデューサーへのインタビュー後編。(c) T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

前編はこちら

『キンプリ』快進撃は「応援上映会」の凄まじい反響から始まった

 劇場版『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、通称『キンプリ』は、女児向けアニメ『プリティーリズム』シリーズからのスピンオフ作品だ。男性アイドルキャラクターを主人公にしており、ターゲットは女性のアニメファン。

 当初はリピーター頼みだったというが、Twitterなどで口コミが爆発的に拡散され、男性層にも知られる大きなブームとなった。特に劇場でライヴのように声援を送れる「応援上映会」は大きな話題を呼び、劇場に観に行った新規客が、次々と「もう一度キンプリを観たい」とリピーターになっていった。

 何回も劇場に通いたくなる映像づくりの秘訣とは? 口コミを拡散させる手法はあるのか? 前編に引き続き、エイベックス・ピクチャーズの西浩子プロデューサーにお話を伺った。

“プリズムエリート”の地道な活動が実を結ぶ

―― 『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(以後『キンプリ』)について、いかに新規ファンをつかむかという課題があったそうですね。前編でも、“5枚綴り前売券”など様々な施策を伺いました。当初は、“コアなファン”を頼りにしていたそうですが、程なくTwitterを中心とするネット口コミで爆発的に広がりました。この口コミについてはどのように仕掛けられたのでしょうか?

西 それが……こちらの仕掛けでいくと、「#キンプリへようこそ」というハッシュタグでネタバレを回避して作品の魅力を伝わるようにツイートしていただき、御新規さんが調べやすい環境を作ったのですが、それ以上にお客さん発信のハッシュタグが広がっていきました。

―― 実際にTwitterで広まっていたタグは「#キンプリを見てください」などでしたね。

西 はい。実際のところ、公開した1月9日から2週間ぐらいは劇場の席も埋まっていませんでしたし、観客動員数も少なかったのです。ですから口コミに関しては、まずはコアなファン“*プリズムエリート”の方々が頑張って、広めるツイートをしてくださったからだと思います。

 『キンプリ』はお金もタイアップもなく、スポンサーもいないという状態でしたから、監督の菱田正和さんが自らニコ生で「どうか劇場に足を運んで下さい」とお話されたことがありまして。

 それで良くも悪くもこの作品の逼迫ぶりが伝わってしまって、プリズムエリートの方々が『自分たちが何とかしなきゃ』という団結力で、「#キンプリを見てください」と自分のTwitterやブログでお願いを始めてくださったんです。

*プリズムエリート……『プリティーリズム』シリーズを視聴し続けているファンや、『キンプリ』に通い詰めているファンを指す。

西浩子プロデューサー:プロフィール

 2012年にエイベックス・ピクチャーズに入社。テレビアニメ『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』(2013年)より作品担当に。以後、『劇場版 プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』『劇場版 プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』を経て、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』プロデューサー。『おそ松さん』の制作も担当。現在、エイベックス・ピクチャーズ アニメ制作本部 制作部所属。

プロデューサー西浩子氏

虹の先をこえてゆけ!
劇場版『KING OF PRISM by PrettyRhythm』

(c) T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

STORY
 華々しくデビューを果たしたOver The Rainbow。ヒロ、コウジ、カズキは瞬く間に女子のハートを魅了し、一気にプリズム界の頂点に上り詰めた。彼らを目指して、エーデルローズには続々と新入生が入学したが、突如「シュワルツローズ」という対立勢力が現れて、エーデルローズは苦境に立たされる……。
 そんな時、天才作詞作曲家としてOver The Rainbowを支えてきたコウジにアメリカから映画音楽製作の巨額オファーが舞い込む。4年毎に開催されるプリズムキングカップを翌年に控え、3人の進路は――。
 エーデルローズ存亡の危機。
 残された7人のエーデルローズ生。
 シュワルツローズからの刺客。
 そして、突然現れた不思議な少年。
 “最も女の子の心をトキめかせたスタァ”だけが得られる
プリズムキングになるのは、誰だ!?

(c) T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

(c) T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

スタッフ
原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア、監督:菱田正和、脚本:青葉 譲、CGディレクター:乙部善弘、キャラクター原案&デザイン:松浦麻衣、プリズムショー演出:京極尚彦、制作:タツノコプロ、配給・宣伝:エイベックス・ピクチャーズ株式会社、協賛:株式会社タカラトミーアーツ、製作:キングオブプリズム製作委員会

キャスト
神浜コウジ:柿原徹也/速水ヒロ:前野智昭/仁科カヅキ:増田俊樹/一条シン:寺島惇太/太刀花ユキノジョウ:斉藤壮馬/香賀美タイガ:畠中 祐/十王院カケル:八代 拓/鷹梁ミナト:五十嵐雅/西園寺レオ:永塚拓馬/涼野ユウ:内田雄馬/如月ルヰ:蒼井翔太/大和アレクサンダー:武内駿輔/法月 仁:三木眞一郎/ 氷室 聖:関俊彦/黒川 冷:森久保祥太郎

新宿バルト9他で上映中!(上映時間:60分)
公式サイト http://kinpri.com/ Twitter @kinpri_PR

テレビシリーズ
第1期『プリティーリズム・オーロラドリーム』2011年4月~2012年3月/全51話
第2期『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』2012年4月~2013年3月/全51話
★第3期『プリティーリズム・レインボーライブ』2013年4月~2014年3月/全51話
傑作選『プリティーリズム・オールスターセレクション』2014年4月~6月/全11話

劇場版
『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』2014年3月公開
★『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』2015年3月公開

※テレビアニメは2011年4月よりテレビ東京系6局とBSジャパンで放送された。
★=『キンプリ』の劇中ユニット「Over The Rainbow」を組む神浜コウジ、速水ヒロ、仁科カヅキの3人が登場する作品。

EDテーマ・挿入歌&サウンドトラックCD 4月27日発売

劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm Song&Soundtrack
発売日:2016年4月27日

■Amazon.co.jpで購入

Blu-ray&DVD 6月17日発売

劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm
初回生産特装版Blu-ray Disc/DVD

Blu-ray+CD:1万2000円(税抜) EYXA-10990/B
DVD+CD:1万1000円(税抜) EYBA-10988/B

初回生産限定版
【初回仕様】三方背ケース入り、特殊ケース仕様
【初回特典(封入)】縮刷絵コンテ集(アバンパートのみ収録)、特製ブックレット

収録内容
Blu-ray DISC/DVD:
本編59分、特報&PV集、初日舞台挨拶映像(出演:寺島惇太、畠中 祐、五十嵐雅、永塚拓馬、内田雄馬)、劇場先付映像集(「次世代プリズムスタァ選抜総選挙」3種、「愛をいっぱい届けてね!オーバー・ザ・バレンタイン上映会」、「一条シン&如月ルヰ 生誕上映会」、「愛をいっぱいありがとう!ホワイトデー上映会」、「今夜は寝かせちゃう!グンナイ♥全国4都市トキメキ一挙上映ツアー」)、オリジナル新作ショートアニメ(監督:菱田正和 脚本:青葉 譲)
CD:劇中挿入歌 本編用編集バージョン 他

■Amazon.co.jpで購入

次ページ→【『キンプリ』はアトラクション型アニメである】

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン