2020年までテレビ需要は右肩上がり
2011年7月の地デジ化にともなう、空前ともいえるテレビ需要の反動は、いまだに市場に大きな影響を与えている。
業界における国内テレビ市場の年間基準出荷台数は約1000万台といわれているが、地デジ化によって2009年度の国内テレビ市場は年間1587万台、2010年度には2571万台、そして2011年度は1660万台のテレビが出荷された。
だが2012年度になると、その反動によって出荷台数は一気に縮小。576万台と前年比で3分の1に縮小し、さらに2013年度は552万台、2014年度も510万台と、500万台規模で推移。2015年度も500万台の規模に留まると予想されている。ピーク時の5分の1の水準だ。
2016年は、テレビの平均買い換えサイクルといわれる7年を当てはめると、特需の走りとなった2009年に販売された1587万台のテレビが買い換え需要期に入ってくることになる。
その後3年間に渡って販売された大量のテレビも、毎年のように買い換え需要の対象になりはじめるというわけだ。また2016年には、4Kおよび8Kの試験放送が開始。2018年には実用放送が開始されることも追い風となる。2020年の東京オリンピック/パラリンピックまで、テレビ需要は右肩上がりになると予想されているのだ。
「2016年は、ようやくテレビのリプレース需要が本格化してくる。4Kテレビも本格的な普及期を迎えることになる」と、宮永社長は期待を寄せる。
2014年度は16.3%だった40型以上のテレビにおける4Kテレビの構成比が、2015年度には30.3%に拡大。2020年度には73.8%と4台に3台を占めると同社は予測する。その時点での4Kテレビの国内市場規模は、年間300万台に達するという。
こうしたなか、シャープは4Kの魅力を伝えるとともに「提案を通じて、いまのテレビが、家族がもっと楽しくなるテレビに変わっていることを伝えることが必要だ」(シャープエレクトロニクスマーケティング 専務取締役 居石勘資氏)とし、「特別招待会」と呼ぶ実売イベントを全国各地で約100回開催。販売店の店頭に訪れない顧客に対しても4Kテレビを体験できる場を提案するという。「これまで特別招待会は商戦の端境期に行なっていたが、今年は年末商戦中も開催する。異例の措置ではあるが、多くの人に体験していただくための取り組み」という。
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