市場がスマートフォンに食われている?
ウォークマン圧勝だが……ポータブル音楽プレーヤーシェア早わかり
2014年10月20日 09時00分更新
意外!? ウォークマンが首位
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、国内量販店月次集計ではアップルは2002年8月から2010年7月までの長きに渡ってトップの座を守ってきた。
ところが、2010年8月に初めてソニーに逆転され、一度は1位に返り咲いたものの、その後は2位のままとなっている。なお、ソニー、アップル以外のメーカーの合計はすべて合わせても数%未満であり、実質両社の争いとなっている。
2011年、ソニーはそれまで8年連続1位だったアップルに差を付け、初めて年間メーカー別販売台数1位を奪還。その後も2012年、2013年と3年連続で年間トップとなっている。
同ランキングによると、両社の年間販売台数シェアは以下の通り。2009年まではアップルが大幅にリードしていたものの、2010年にはほぼ横並び。2011年にアップルがソニーに逆転されてからは、両社の差は開く一方となっている。
なお、販売台数だけでなく、販売金額でも2011年9月にソニーはアップルを上回り、それ以来1位を保っている。アップルのほうが平均単価は高いものの、ソニーは販売台数の多さでカバーしている状態だ。
ポータブル音楽プレーヤーにおける両社のシェア | ||
---|---|---|
アップル | ソニー | |
2008年 | 56.1% | 28.5% |
2009年 | 51.5% | 35.4% |
2010年 | 48.2% | 44.4% |
2011年 | 38.6% | 54.1% |
2012年 | 39.8% | 53.0% |
BCN調べ。2012年は1~11月の集計。
現在のポータブル音楽プレーヤー市場はウォークマンが過半数となっていることがよく分かるだろう。音質、豊富なカラーバリエーションなどが受けているようだ。
スマートフォンに食われるポータブル音楽プレイヤー市場
ただし、ウォークマンはあくまでポータブル音楽プレーヤーとして、音質などにこだわりを持った端末だ。
一方アップルは、音楽だけでなくゲームやアプリが楽しめるiPod touchを主力とし、目指す方向は異なっている。また、iPhoneも音楽再生機能を持つため、ポータブル音楽プレーヤーではなくiPhoneで音楽を楽しむ層も多数いると考えられる。
iPodの販売台数は2010年9月以降前年割れが続いたが、iPod touchに限ってみれば前年同月比179~200.7%と前年度に比べて2倍近く売れているのだ。
iPodシリーズの源流といえるiPod Classicが2014年に販売終了するなど、アップルの主眼は今やiPhoneやiPod touchなど、音楽だけでなくゲームやアプリも楽しめる端末へと移っている。
つまりソニーの逆転劇は、アップルの顧客層がプレーヤー機能のみのiPodシリーズから、多機能なスマートフォンのiPhoneに流れたから、という見方もできる。ポータブル音楽プレーヤーの国内市場は減少が続いていると言われており、市場がスマホに浸食されている可能性が高い。今後、ポータブル音楽プレーヤーメーカー各社は、市場自体を盛り上げる工夫が必要とされそうだ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)の他、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki
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