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日本のITを変える「AWS侍」に聞く第1回

JAWS UGに入って年間100回の講演をこなす猛者

オンプレの受託開発から吉田さんがクラウドにダイブした理由

2014年04月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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本連載では、日本のITを変えようとしているJAWS-UGのメンバーに、自身の経験やクラウドビジネスへの目覚めを聞き、新しいエンジニア像を描いていこうと思う。記念すべき第1回は、年間100回以上の講演をこなすcloudpackのエバンジェリスト 吉田 真吾さんだ。

本連載は、日本のITを変えようとしているAWSのユーザーコミュニティ「JAWS-UG」のメンバーやAWS関係者に、自身の経験やクラウドビジネスへの目覚めを聞き、新しいエンジニア像を描いていきます。連載内では、AWSの普及に尽力した個人に送られる「AWS SAMURAI」という認定制度にちなみ、基本侍の衣装に身を包み、取材に臨んでもらっています。過去の記事目次はこちらになります。

フリーランスなのにわくわくしなかった

 吉田さんのキャリアは、小さな受託開発の会社からスタートする。就職活動はほとんどせず、受託開発の会社に2002年に入社。C言語でPHSの基地局監視制御システムを作っていたという。しかし、「そもそも一つの会社でじっくりキャリア形成していくつもりがあまりなかった。そこは大手メーカーの孫受けだったので、10年上の先輩と仕事も給料も変わらない。よくよく考えるとやってられんと思った(笑)」(吉田さん)とのことで、2年目にはフリーランスとして独立し、その会社の開発を請け負うことになる。

アイレット cloudpack事業部 エバンジェリスト 吉田真吾氏

 PHSに続き、開発現場をケータイキャリアに変え、エリアマーケティングシステムをJavaで開発。その後、2006年に首都圏コンピューター技術者協同組合に加入し、以来昨年まで大手SIerの証券システム基盤の開発を手がけてきた。吉田さんは「サーバーサイドはCOBOL、CやJava、データベースはOracle RACといった構成でシステムを開発・運用していた。開発者が非常に多い現場だったので、他システムのチューニングや、インフラチームとアプリケーションチームの間を取り持つような仕事も多かった」と振り返る。

 このように10年以上の間、受託開発の世界でキャリアを積んできた吉田さんだが、個人として「エンドユーザーが見えない環境」に違和感を感じていたという。2007年から証券システムの基盤開発を請け負っていたが、サブプライムショックやリーマンショック、東日本大震災などを経ても、吉田さんは特に影響を受けることなく同じ基盤開発に携わり続けた。こうした中、「エンドユーザーを取り巻く環境はどんどん変わっているのに、自分がそういうこととはまったく違う環境にいたことに、すごく違和感を感じていた」(吉田さん)という。ビジネスの状況によらずインフラは安定的に提供しなければいけないので、当然そのままでも良かったが、「フリーランスなのに、ずっと同じことやっているし、あまりわくわくできなくなっていた。次に何か受託するときは、エンドユーザーが見える仕事にしようと思った」(吉田さん)という。

 こうした中、個人として参加した2012年3月の「JAWS Summit 2012」で、吉田さんは大きな転機を迎える。「一日中AWSのハンズオンを受けていたんですが、今まで丁寧に扱わないといけなかったインフラがやたらとカジュアルに扱えることにショックを感じた。なんでこんなにダイナミックにインフラを作れるんだ。どれだけリソースが潤沢にあるんだと」(吉田さん)。

 従来のインフラ構築は、PMの要件定義から1年以上もかけて本番環境を構築し移行する。インフラを日々少しずつチューニングしたり、次世代のインフラ構成を毎日検討していた吉田さんにとっては、AWSがやたら“ワイルド”に見えたという。その結果、「こっちのほうが楽しいかも、と思い立ち、仕事の合間にAWSを片っ端から検証して、ブログを書いたり、勉強会をやったりしていた」(吉田さん)という。

6000名参加のイベントで得た実感

 こうしてクラウドに傾注した吉田さんは、2012年9月のJAWS-UGで開催された「AWSウルトラクイズ」で優勝。日々の研鑽が功を奏し、 クイズ参加者500人のトップに立った。コミュニティ活動の楽しさを実感した吉田氏は、個人でやっていた勉強会をJAWS-UG Yokohamaに格上げし、JAWS-UGにますます積極的にコミットするようになったという。

 そして、AWSウルトラクイズの賞品として、ラスベガスで開催されたAWSのテクニカルカンファレンス「re:Invent」に招待された吉田さんは、AWSのエンジニアやエコシステムパートナーの人に直接ビジネスの話について聞き、AWSが本番のビジネスで十分使えるということを実感したという。

 吉田さんは、「インフラをダイナミックに扱えるのはすごいと思っていたが、あくまで個人でしか利用しておらず、ダイナミックすぎて“開発者のおもちゃ”のように感じていた。本番のビジネスで使えるイメージがなかった。でも、6000人も集まるグローバルなイベントでビジネスとしてのAWSの扱われ方を知ることができて、まったく見方が変わった。クラウドで食べていけると実感できた」と語る。

「re:inventに参加して、クラウドで食べていけると実感できた」

 re:Inventでもう1つ大きな契機となったのは、AWSのインテグレーターとして多くの実績を持つcloudpack(アイレット社)のエバンジェリストに声をかけられたことだ。アイレットは2003年設立のシステムインテグレーターで、もともと受託開発をメインにやっていたが、2010年からはAWSのインテグレーションを中心にしたcloudpack事業を立ち上げている。「cloudpackの方々と情報交換をするうちに、アイレットの後藤和貴さんから、『うちでエバンジェリストやりませんか』という打診をいただいた。AWSビジネスをさらに伸ばしていきたいと考えている、コミュニティ活動に積極的である、という2点から、cloudpackは魅力的だった」(吉田さん)とのことで、2013年にアイレットに入社。現在はcloudpack事業部のエバンジェリストとして、日々各地を渡り歩いている。

(次ページ、JAWS-UGの活動は公私混同?)


 

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