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ウェブ制作会社グリーンツリーの森田健太郎社長は「10分以上かかる仕事はシステム化しろ」がモットー。労働生産性を上げ、ノー残業をキープし、人件費を上げずに利益を出すためだ。
たとえば以前、企業サイトのバナー製作は4000円だったが、あるときから無料化した。理由は請求業務の速度を上げるためだという。たかが4000円のために見積もり・許諾・請求・入金確認という面倒なプロセスを割り込ませたくはない。事業効率のために、月間数十万円程度の儲けは犠牲にすべきだと判断した。
森田社長は「Excelのフォーマットは社長が作るべきだ」とも話す。
たとえば、タイムカードやシフト表は自らExcelで作っている。従業員1人頭のコストを割り出せるような関数を入れており、隠しシートを開くと給与明細になる仕組みがある。おかげで原価計算も数分で済むが、「こんなものいちいちシステムにしてくれってお願いしたって、費用対効果が合わない」(森田社長)のだ。
効率重視のきっかけは「トップセールスのジレンマ」
森田社長が事業効率と自動化に開眼したのは、経営者になる前からだ。
大手通信会社セールス担当だった森田氏は、営業先が増えるたび書類作成に追われ、やがて1人では手に負えなくなるという「トップセールスのジレンマ」に陥った経験があった。「とればとるほど首がしまっていく仕組み。達成率No.1になると死ぬ。ノルマは苦しいし、どうするんだみたいな」(森田氏)。
悩んだ森田氏は、自社データベースを活用して、自動的に書類を作成するシステムを組んだ。
「既存のお客さんのデータを夜のうちにすべて取り、打ち出しておく仕組みを作った。通常なら1社あたり(データの抽出と出力に)30分かかっていたが、(自動化のおかげで)自分では何もしなくてもよくなった」
おかげで余分な時間が生まれるが、森田社長はあえてそこに新たな予定を入れようとはしなかった。それは一体なぜなのか、という話は「アスキークラウド 2014年7月号」の特集「『仕事ができる』ってどんな人?」でリポートする。