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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第131回

究極の俺得アプリかそれともハープ業界の革命か

グランドハープを再現した「Handy Harp」は誰のために?

2013年10月19日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ハープはペダルで奏者が音階を作る

―― はい、さっぱり分かりませんのでよろしくお願いします。

光田 一般的に「グランドハープ」と呼ばれているものは47弦、C1からG7まで「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」で並んでいるんですね。ピアノでいうと、白鍵のみで、黒鍵のない状態です。ただピアノの白鍵と違うのは、すべての弦が、ナチュラルではなく、フラットにチューニングされている。そして「ド」のペダル、「レ」のペダル……というようにドからシまでの7本のペダルがあって、それをまず1段踏み込むとディスクという部分が回転し、弦の振動部分が短くなってフラットからナチュラルの状態にチューニングが変わります。

―― なるほど

光田 そしてさらにもう1段踏み込むと同じ仕組みでナチュラルからシャープの状態にチューニングを変化させることができるわけです。たとえば「ド」のペダルを1段踏むと全オクターブのドの音が半音上がる仕組みです。ですから「ド」のナチュラルと「ド」のシャープを両手で同時に弾くことはできないのです。どうしてもそう弾きたい場合は、「ド」のナチュラルと「レ」のフラット、または「シ」のシャープと「ド」のシャープを使う、などの方法で乗りきります。

―― それでペダルのポジションが3段階あるんですか。

光田 そうです。フラットとナチュラルとシャープ。それで音階を作るんです。だから曲が変わる場合はもちろん、曲中でも、レのペダルは1段上げて、ソのペダルを2段踏んでとか、そういうことを頻繁にやらなければならない。

Handy Harpの画面。2本の棒で弦を挟んだ上下2組の丸いものが「ディスク」。3段のジグザグな溝に生えているものが「ペダル」。左から2番目のペダルと赤い弦に注目。この状態で「C♭」

このペダルを一弾踏み込むと、2個ある上のディスクが回転して弦を押さえ、弦の長さが短くなり音程が上がる。この状態で「C♮」

さらにペダルを踏み込むと、上下二枚のディスクが回転して弦を抑え、弦の長さがさらに短くなって音程が上がる。この状態で「C♯」

―― ええ、もう何だか嫌になってきました。

光田 ハーピストさんは譜面をもらってそのペダルのセッティングを考えてからレコーディングに挑むわけです。ハーピストさんは準備に時間がかかるんですね。それをソフトにしたら助かります? という話を朝川さんにしたら「ハープ業界がすごいことになる」と。

―― ペダルポジションの確認が早くなるだけ、じゃなくてですか?

光田 もちろん早くなりますし、たとえば子どもたちがハープをやるときに、まずペダルで躓くわけですよ。そこに簡単に動くソフトがあると若い世代も育つし、学校でも使えますし、いま現役で働いているハーピストも欲しいはず。だったら作ろうかなと。でも、ハーピストの絶対的な人数がどれくらいかは分からないんですよ。

―― さすがノーマーケティング。

光田 でも海外にも同じことで困っている人がいると思うんです、アメリカの映画業界とか。向こうは作曲家、編曲家、オーケストレーションって完全に分業になっていることが多いんです。それでオーケストレーションの方が譜面を作るんですけど、ハープの扱いが面倒らしい。日本はあまり生で録ることはないですが、アメリカでは普通に録っていますから、アメリカでも売れるんじゃないかなって。でもどうやって宣伝するんだ? みたいな。

佐野 あの、逆にそこをちょっと相談したいんですけど。

―― すみません僕に相談されても困ります。

光田 まあ、何とかリクープするくらいまでは行けるのかなあと。モト取れなくても僕の作業量が上がれば、自分のギャラを会社に入れればいいやって思ったり。

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