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なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第30回

ハシゴを外されると分かっていても、シャウトせずにはいられないIT用語

2013年09月19日 18時00分更新

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回答編


ヒューリスティックエンジンはセキュリティ用語ね。既存のパターンマッチングで検知できない攻撃を見つけ出す技術。


パターンマッチ……ってウィルスの定義ファイルとかのことですよね。これこれこういうデータはウィルスなので隔離しましょうというやつ。


そう、ただそれはあくまで既知のウィルス・マルウェアに対応するものだから新種の攻撃は検出できない。セキュリティ会社が新しい定義ファイルを出すまでは無防備--ゼロデイアタック状態になってしまう。


困りますね。


だからウィルスに共通するソースコード・コマンドなどを蓄積、それらの組み合わせで『どうも怪しいぞ』と判断する手法が登場したの。もちろん未知のウィルスである以上断定はできないから、少しずつ怪しさの得点を積み重ねて閾値越えしたら危険と判断する。いわば経験則・仮説形成型分析ってやつね。


ははぁ……だからHeuristic(経験則・発見的問題解決)と。


うん。なのでこの場合の"エンジン"は検索"エンジン"のそれと同義ね。コンピュータ用語で特定機能を実行するシステム・ソフトウェアのこと。


つまり高機能なセキュリティ対策ソフトってことですか?


本当に高機能だと実はもっと上があるわ。
いわゆる振る舞い検知(ビヘイビアブロッキング)と呼ばれるもので、仮想マシン(サンドボックス)上で実際に被疑ファイルを動かして危険度を確認してしまう。そこで怪しげな動作が検出できたら、もう確実に黒でしょ? ソースコードが暗号化されていようが偽装されていようが即座に判定できる。究極という意味ならこれが究極よね。


なるほど……究極のセキュリティソフト……ビヘイビアブロッキング、燃える語感ですね。


じゃあそっちでシャウトしてみましょうか。今度は周囲に気を遣ったりせず、存分に中二病を発症させてみて。


えー……。


何よ不服なの。


だって室見さん、盛り上げるだけ盛り上げて途中でいなくなるじゃないですか。あれ真面目に寂しいんですけど。


馬鹿ね、今回はちゃんとつきあうわよ。何せお題とは別に叫びやすい単語を準備したくらいなんだから。途中で放り出すわけないでしょ。


………。


ほらほら、シャーウト、シャーウト(手拍子しながら)


分かりました、じゃあ行きますよ。(低い声で)……ヒューリスティックエンジン全開、リミッターブレイク、行くぜ、最終形態……ビヘイビア--


(キーンコーンと昼休み終了のチャイム)


わー、残念! ちゃんと付き合いたかったんだけど時間だからしょうがないわねー。あー、聞きたかったなぁ、桜坂のシャウト、残念!


………(絶対、時計見て急かしてたな……)


【解説】

ヒューリスティックエンジン
類推型ウィルス判定システムのこと。既存のパターンマッチ方式と異なり、ソースコードの特徴やコマンド内容によって攻撃「らしさ」を判定する。未知のウィルスを検知できる反面、誤検知の可能性もつきまとうため、最近は振る舞い検知(ビヘイビアブロッキング)なども用いられている。

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