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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 ― 第216回

SATA3.2の仕様策定で見えてきたSATA ExpressとM.2

2013年08月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 今回はSATA 3.2を解説する。その前に前回のUSB 3.1についての補足をさせていただく。

 Twitterのコメントを見ていると、USB 3.1はOTG(On-The-Go and Embedded Host Supplement to the USB Revision 3.0 Specification)、Power Delivery(USB Power Delivery Specification)、SSIC(Inter-Chip Supplement to USB Reivison 3.0 Specification)の3つを含んでいると誤解されているようだ。

 この3つはUSB 3.1でも「オプション扱い」である。つまりすべてのUSB 3.1ポートが100W供給やOTG(On-the-Go:PCを介さずデバイス同士をUSBで繋いでやり取りすること)ができるわけではないし、SSIC(Super Speed Inter-Chip:モバイル端末向けに転送速度や消費電力効率を上げる技術)に対応しているわけではない。

 もしもUSB 3.1ポートで100W供給を行ないたい場合、その振る舞いはPower Deliveryに準拠した形にしなさい、と規定されているだけである。

SATA 3.2は、サポートする機器に
SATA Express、M.2、SSHDが追加

 では、今回の本題であるSATA 3.2について解説しよう。8月7日にSATA-IO(The Serial ATA International Organization)は、Serial ATAにまつわる仕様をまとめたSATA 3.2をリリースした。このSATA 3.2であるが、エラー(ECN:Engineering Change Notice)と新機能の追加の両方がある。まずECNは以下の15項目が挙がっている。

SATA 3.2の技術変更通知
ECN056 Tx AC Common Mode Voltage Change for Gen3
ECN057 Internal Micro SATA and Slimline Gen3
ECN058 Hardware Feature Control Correction
ECN059 Device Configuration Overlay Correction
ECN061 Dual Consecutive ALIGNp Sequence
ECN062 Tx Min Amplitude Cleanup
ECN063 Rx Rise/Fall Time Reinstated
ECN064 ErrorFlush Cleanup
ECN065 Identify Modification
ECN066 Tx AC Common Mode Voltage Procedural Simplification
ECN067 Port Multiplier Signature for Software Reset, Description of I field of Set Device Bits FIS, NCQ Queue Management Subcommand response, Typo Error in GSCR Reference
ECN068 Device Sleep Voltage Spec Adjustment
ECN069 Hardware Feature Control Bug
ECN070 PM5:PUIS Clarification
ECN071 DEVSLP Bit Interlock and
ECN072 Endianness of LBA Range List

 とはいえ、タイトルをざっと眺めただけでも大きな変化があるものはなく、既存の仕様に若干の修正を加えたり、仕様書のミスを訂正、決まっているべきパラメーターが決まってなかったものを追加、というあたりであるので、こちらの解説は割愛する。

 一方の新機能であるが、こちらも15種類もの項目が挙がっている。

SATA 3.2で追加された新機能
TPR033 Relaxation of Minimum Transmit Rise/Fall Times for Gen 1 and Gen 2
TPR035 SATA BGA SSD
TPR037 Standard SATA Connector 3.3V Power Pin Assignments
TPR038 Device Sleep
TPR039 DEVSLP Assignment on Standard SATA Connector
TPR040 Software Settings Preservation for Device Initiated Interface Power Management
TPR041 9mm SATA USM
TPR042 Hybrid Information Feature
TPR043 Queuing Power Management
TPR044 Synch with ACS-3
TPR045 Rebuild Assist
TPR046 Transitional Energy Reporting
TPR047 SATA Express Specification
TPR049 Add QPM to SATA logs
TPR050 SATA MicroSSD Footprint Update
TPR051 Hybrid Information Update
TPR053 M.2 Card Formfactor for SSDs and
TPR054 SATA 8.5mm Slimline ODD Connector Location

 これらからSATA3.2についてまとめると、以下のことがわかる。

  • SATA Expressへの対応
  • M.2への対応
  • SSHDへの対応

 逆に言えば、SATA ExpressやM.2、SSHD以外は何も違わないということになる。標準的なSATAそのものの転送速度は引き続き6Gbpsが上限で、違いは3.3V電源の廃止と、電源管理に若干のオプションが追加された程度に留まっている。

 SATA3.0と3.1の大きな違いであるSATA ExpressとM.2は、基本的にはフォームファクターが違うだけで根っこは同じである。

2013年1月に開催されたStorage Vision 2013におけるSATA-IOのプレゼン資料。M.2はデスクトップに入る予定はないが、これはフォームファクター的に意味がないだろうと判断されただけの話で、技術的には可能だ

 要するにホスト側はSATAとPCI Expressの両対応になっており、デバイス側はSATAとPCI Expressのどちらかを選択して使える、という形だ。

SATAとPCI Expressデバイスは、どちらの場合でもSATA Expressコネクターに繋げる。コントローラーは接続後にデバイスと通信して、どちらの規格で接続するかを判断することになる。ただし、SATAとPCI Expressの両方を同時には使えない

 なんとなくこの構造を見るとデバイスベイという、USBとIEEE1394両対応の拡張ベイ規格を思い出す(デバイスベイは結局市場が立ち上がらずに流れてしまった)が、SATA Expressはそれなりに必要性があってのことである。その必要性とは、性能/消費電力比が、SATAのままだと悪すぎるというものであった。

SATA Expressの性能グラフ。縦棒は消費電力、折れ線が帯域である。右端の“SATA 12Gb/s”は「もしこれが存在したら」という仮定の数値だが、性能/消費電力比がSATAのままだと悪すぎるのがわかる

 SATA 12Gbpsにしない理由を、SATA-IOの副会長であるKnut Grimsrud氏に以前聞いたときの答えは「コンシューマー向けに12Gbpsを持ち込むのはコストの面で適当ではない」だったが、根っこは同じことであろう。

 SATA Expressの場合、仮にGen 3を使えば1レーンで1GB/秒、2レーン使えば2GB/秒の帯域となる。SATA 6Gbpsだと、転送速度は6GT/秒だがエンコードの転送方式が8b/10bである関係で、実効転送速度は600MB/秒が上限となるため、SATA Expressはより効果的に帯域を広げることが可能になるわけだ。

 また、プロセスの微細化などによってチップセット側に集積できるPCI Expressのレーン数を増やしやすくなったことも、この状況を後押ししていると言える。

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