USB 3.1とSATA 3.2の説明が終わったところで、他のインターフェースについてもまとめてアップデートをお届けしておこう。今週はPCI Expressである。
もっともUSBやSATAと異なり、PCI Expressに関しては現時点では公式には新しいスペックが一切出ていない。ただ、「もうじき」というものがいくつかあるので、このあたりを順次説明していこう。
転送速度が倍になる
PCI Express Gen4
インテルプラットフォームでは、すでにPCI Express Gen3がごく普通に利用できるようになり、AMDでも来年のKaveriでPCI Express Gen3が利用できるようになる。そこで、視点は次のPCI Express Gen4に向くことになるが、こちらが登場するのはまだ当分先となる。
PCI-SIGの場合、仕様の策定は0.1→0.3→0.5→0.7→0.9→1.0、となぜか奇数番でリビジョンが上がるのだが、PCI Express Gen4のリビジョンは現在はまだ0.3の段階である。PCI-SIGは昨年、そもそも原理的に可能かどうかというレベルの調査を行なっており、これが0.1にあたる。
今年は0.1が物理的に可能かというレベルの検討を行なっており、これが0.3相当である。この結果を元に、現実的な回路として構成できるかどうかの検討が0.5として来年第1四半期に始まる。
0.5で現実的に構成できる目処が立ったら、今度は具体的な製品レベルでそれを構成できるかの検討が0.7として、おそらく2014年第3四半期あたりから始まる。
これで問題がないと、ほぼ最終仕様に近いものが0.9として2015年第1四半期にリリースされ、メンバー企業がこれをレビューして問題ないとすると、やや後(最短だと30日程度だが、実際はもう少し色々あるだろうから現実問題としては2015年第1四半期末、もしくは第2四半期初め)にリビジョン1.0がリリースされることになる。
問題は仕様の策定がオンタイムで進むかどうかであるが、前術の画像での見通しは楽観的なスケジュールに基づいている。例えばPCI Express Gen3の場合、リビジョン0.7から0.9に移る前に問題が見つかり、間にリビジョン0.71というものが入っている。
また、この段階だと机上のシミュレーションレベルではわからないことも多く、実際にはメンバー企業がリビジョン0.7仕様の回路を作成してテストを行ない、その結果として問題が発覚、これを修正しリビジョン0.71仕様の回路を再び作成してテストを行ないGOが出た、という手間のかかる工程となっている。
これ以外にもいくつか遅れる要因があり、PCI Express Gen3は当初のスケジュールから1年近く遅れている。今回はどうかというのは現時点で断言できないが、過去の例から、スケジュールはかなり楽観的なものと覚悟しておいたほうが良いだろう。
筆者の個人的な見解としては、PCI Express Gen4の仕様策定は2015年一杯を要し、結果としてPCI Express Gen4に対応したコントローラーあるいはデバイスが市場に出るのは2016年度にずれ込むのではないかと予想している。
これはGen3でも起きた話だが、最近の技術を使う限り8GHzあるいは16GHzといった信号転送速度そのものはそれほど難しい数字ではない。適切なイコライザー技術を使えば信号補正は簡単にできる。
問題は、信号補正を特定のメーカーの持つ特許などを利用せずに、かつ低価格な構成にすることが非常に難しいことだ。ましてや16GHzともなると、様々なメーカーが信号補正に関する色々なノウハウをすでに特許で抑えている。特許に引っかからないよううまく標準化ができるかどうかというあたりで、どうしても時間がかかるのは致し方ないところであろう。
ちなみに性能に関しては、純粋に転送速度が倍になるだけだが、GPUの利用にはPCI Expressの速度とGPUの性能はほとんど無関係であり、その意味では通常のユーザーにはあまりメリットがない。
メリットがあるのはGPGPUとして使うケースだ。将来的にはSATA Expressなどのストレージ系でもその性能が感じられるかもしれないが、PCI Express Gen4に対応したSATA Expressが登場するのはさらに先のことになりそうである。
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