このページの本文へ

なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第20回

ちょっと慢心気味な魔王さまが使っちゃいそうなIT用語

2013年06月20日 18時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

回答編


(腹を押えながら)
ひ、ひどいですよ室見さん、ああいう場合、見えないバリアをあるように扱うのがお約束じゃないですか。なんの躊躇もなく拳骨で……しかもみぞおちを……。


いや……だって全身から漂う三下オーラの『殴ってくれ』感が半端なかったんだもの。うん、あんた才能あるわ。雑魚役やらせたら一級品よ。


そんな褒め言葉ほしくありません! ……はぁ、ええっと回答編ですよね。ポイズンリバース、毎度おなじみルーティングループ(*2)の防止手法です。


あら? 今回はちゃんと調べてあるんだ。珍しい。


毎回毎回無知を詰られるのも辛いですから、今日はちゃんと下調べしてきました。以前スプリットホライズンというループ防止手法がありましたよね。ある経路情報について、それを知らせてきたネットワーク機器には当該経路を返さないという仕組み。


お互い同じ目的地を指示しあって通信がピンポンしてしまうのを防ぐ手法だったわね。


はい、ただこの方法はあくまで自発的にループを引き起こさないだけなので、たとえば各経路の更新通知タイミングがずれると思わぬループを引き起こしかねません。


郵便番号○○はある時期で廃止されてるのに、その情報が伝わってないどこかの郵便局が『〒○○に配達したいなら僕の所に回して!』と言い出しちゃう感じね。


郵便番号のリストが定期更新だとこういうことが起こりえますよね。なので即時、明示的に『この郵便番号は無効です!』とみんなで叫びあうのがポイズンリバースです。


具体的にどういう手段をとるのかしら?


無効経路を受け取った通信装置が元の相手に対しメトリック16(距離16=無効経路の意)というフラグを送り返します。これによって全ての通信装置がお互いにその経路って無いよねーということを確認しあうわけです。この確認応答が『無効』という毒を返すように見えるため、ポイズンリバースの名がついた感じですね。


おおおお素晴らしい。
完璧よ桜坂。どうしたの? 熱でもあるんじゃない?


失敬な。僕は基本やれる子ですよ。企画の主旨にあわせて三枚目を演じてるだけで本気になればこんなものです。


へー。


うん、正直今までダメキャラを押し出しすぎてましたね。これからはITスペシャリスト桜坂として活躍していきます。NW、DB、セキュリティなんでもござれ。たちどころに迷える仔羊達の疑問を解消するシステムの伝道師! いやぁファンレターとか来ちゃったらどうしようかなぁ、えへへ、照れるなぁ。


……ふぅん、じゃあさ、ルートポイズニングとポイズンリバースの違いは?


え?


ルートポイズニングとポイズンリバースの違い。


……ええっと。


あと、あんたがさっき説明した内容を以下の用語で解説しなおしてみて。ルートポイズニング(*3)ホールドダウンタイマー(*4)トリガードアップデート(*5)。もちろんITスペシャリストなら簡単に答えられるわよね? はい、カウントダスタート。制限時間は10秒。


!? え、えっと……タイマーがアップデートで、ホールドがトリガーだから……あの、その……。


はーい10秒。
あーあ、自分でスペシャリストなんて言わなければ普通に褒めて終わりだったのに。ともかくエンジニアとして慢心は悪だから。きっちりお仕置きタイムいくわよー。


! 藪蛇だった! くそっ、くそっ、まさにポイズンリバース(予期せぬしっぺがえし)。こうなったら究極奥義を見せるしかない。行きますよ、絶対防御魔法、スペクトラムポイズンリバー!


えい(ぐーぱん)


げふぅっ!?


(*2) レイヤ3(IP層)でパケットがループすること。
(*3)~(*5) いずれもルータの経路処理メカニズム。


【解説】

ポイズンリバース
ルーティングループ防止手法の一つ。無効経路を受け取った場合、明示的に当該経路が無効である旨を通知し返すこと。具体的にはメトリック16(距離16=無効経路の意)という情報を送信する。一般的にスプリットホライズンと組み合わせて使われる。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン