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なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第16回

一瞬で銀河帝国の艦隊を駆逐できそうなIT用語

2013年05月24日 18時00分更新

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回答編


RIP(*3)などのルーティングプロトコルでは通過するルータを1ホップと考えて、ホップ数が最少になる経路をベストパスにする。要は最短ルートを選ぶわけね。これがディスタンスベクター方式


はぁ、最短経路がベスト経路って……なんか当然の話な気がするんですけど。


そう? じゃ、あんたが今から山に登るとして、片方は山なりに螺旋を描いて続く自動車道、もう一個は頂上まで直線距離のロッククライミングコース。どっちがベストパス?


ロッククライミングとかできないので必然的に自動車道になると思います。


距離だけ考えたら最短よ? あんたさっき最短の経路をたどるのが当然とか言わなかった?


いじめないでくださいよぉ……ああ、分かりました。経路選択の判断基準は距離だけじゃなく、道路の状態や安全性など色んな要素があるって言いたいんですね。


そう。回線帯域の広さって観点もあるし、必ずしもホップ数の少ない経路がよい経路とは限らない。だからEIGRP(*4)などは遅延や品質とかのパラメータを使って総合的によい経路を選択する。これが拡張ディスタンスベクター方式


拡張ディスタンスベクター方式……。


更に言えばディスタンスベクターは目的ネットワーク毎にホップ数をカウントするからどうしても大規模システムに対応しづらくなる。地図もなしに目的地と距離だけ書き連ねていったら膨大なデータ量になるでしょ? だったらもう地図に目的地を書き込んで、俯瞰的に遠近を判断させた方がいい。これがリンクステート方式、OSPF(*5)やIS-IS(*6)などで使われているわね。というかプロバイダ間接続をのぞくほとんどのIPネットワークでは現状OSPFが使われているから、デイスタンスベクターは非主流派と言ってもいいわ。


なんですと!?


本当あんたは微妙な単語持ってくるの好きよねぇ。根っからのアングラ気質なのかしら……永遠にメインストリームに行けない存在……。


随分な言われよう! 分かりました。僕がどれだけメインストリーマーな人間かここらできっちりアピールしたいと思います。これを見てください!


??


大学入学の時、クラスで作った自己紹介シートです。これを見れば僕の趣味がどれだけ普遍的なものか理解してもらえるでしょう。さぁどうですか!


 好きな映画監督:エド・ウッド(*7)
 好きな映画:死霊の盆踊り(*8)
 好きな食事:横手焼きそば(*9)


………。


………。


(*3) Routing Information Protocol。インターネット普及以前より存在する非常に歴史のあるルーティングプロトコル
(*4) Enhanced Interior Gateway Routing Protocol。米シスコ社の独自ルーティングプロトコル
(*5) Open Shortest Path First。現在IPネットワークで非常に多く使われているルーティングプロトコル
(*6) Intermediate System to Intermediate System、略称アイエスアイエス。OSPFと似た動作をする。海外シェアが高い
(*7) 言わずと知れたアメリカ史上最低の映画監督
(*8) そのエド・ウッドが原作・脚本したZ級映画。死霊が延々と踊り続ける
(*9) B級グルメの王様


【解説】

ディスタンスベクター(型/方式)
ルーティングプロトコルの方式の一つ。通過するルータの数が最も少ないものを最適経路と判断する。距離ベクトル型とも呼ばれる。実装が簡単な反面、回線速度などの情報を加味しづらい、大規模ネットワークに対応しづらいなどの問題がある(用例)「ディスタンスベクター型ルーティングプロトコルIGRP……完成していたのか!

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