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HDDとベンチソフトで徹底比較

噂のハイブリッドドライブの実力は? 実機で検証した

2013年03月06日 14時00分更新

文● 貝塚 怜/ASCII.jp編集部

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東芝の「ハイブリッドドライブ」。フラッシュメモリーを内蔵しており、SSD用のモジュールを追加することなく搭載できる。

 HDDからの置き換えが期待されるSSDだが、大容量化にはまだまだ多量のコストがかかり、一般的な普及は現実的でない。かと言ってSSDの速さは捨てがたい。

 そこで生まれたのが「ハイブリッドドライブ」である。キャッシュにフラッシュメモリーを用いることによって、使用頻度の高いファイルのシークタイムを大幅に減らせ、かつHDDの容量も持ち合わせている、まさに新世代のドライブだ。

 SSDが安価に大容量化できる時代がくるまでの有力なストレージとして期待されるハイブリッドドライブ。果たしてその実力はいかほどなのか? 疑問に感じていた人も多いことだろう。

 編集部はハイブリッドドライブを搭載する東芝の春モデル「dynabook Qosmio T752/V8H」を入手。早速性能の違いを試してみた。


ストレージ以外を同一スペックとして比較

「T752」

 比較対象はストレージ以外「T752/V8H」と同一のスペックを持つ「T752」。公称では最大で4倍もの差が出るというが……。

 T752/V8Hに搭載されているハイブリッドドライブは、東芝の自社開発製品。Ultrabookなどで主流のHDDとは別にmSATA接続のSSDを実装する方式ではなく、8GBのNAND型フラッシュメモリーをHDDのケースの中に内蔵してしまっている点が特徴だ。

 今回試したのは「PCMark 07」と「Crystal DiskMark」という2つのベンチマークソフトだ。まずは、PCMark 07の結果から見てみよう。(数字は全て小数点第3位以下四捨五入)

System storageに大別される3項目(MB/s)。いずれも大きな差が出た。

 デフォルト設定でのPCMark 07の全体スコアはハイブリッドドライブ搭載機が5004、HDD搭載機が3781と3割ほどの改善。

 主に違いが出たのは「importing pictures」、「Windows Defender」、「Gaming」の3項目。すなわち、大量の写真の読み込み・書き出し、「Windows Defender」を利用したシステムのスキャン、エミュレーターを利用してゲームを起動した場合の速度を表している。いずれも「System storage」の項目に大別され、ハイブリッドドライブの性能がダイレクトに出る部分だ。

 Gamingでは、T752が4.52MB/sだったのに対し、T752/V8Hでは12.55MB/sと約2.88倍の差が出ている。次いで差が大きかったimporting picturesではT752が6.04MB/sだったのに対しT752/V8Hは16.5MB/s。約2.73倍、ハイブリッドドライブモデルの「T752/V8H」が速かったということになる。

   Web browsing、Data decrypting、Video playbackなど、ストレージ以外の性能に左右される項目に関しては、当然ながらほとんど差が出なかった。

Web browsing(page/s)、Data decrypting(MB/s)、Video playback(fps)の数値。グラフィック系の性能はほとんど差が無い。

 Crystal DiskMarkによるベンチマークは、テスト回数5回、テストサイズ1000MBのデフォルトで実施した。結果は一目瞭然。いずれの項目もT752/V8Hが大きく勝った。特に違いが見られたのは「4K」の項目、つまり4KB単位でランダムに読み/書きの速度、および「4K QD32」、つまりネイティブコマンドキューイングによる4KB単位の読み/書きの速度だ。「512K」、すなわち512KB単位の書き出しも、T752/V8HがT752の2倍、読み込みは実に3倍という速さを記録した。ハイブリッドドライブに、SSDの特性が備わっていることがよく分かる。

ライティング(MB/s)

リーディング(MB/s)

 ローカルからローカルへのファイルの転送速度、すなわちコピーの速度も測ってみた。今回、計測用として用意した1GB丁度のダミーファイルを5度転送し、始めと終わりを除いた3度の平均をとる、という計測方法を試みた。T752が3.60秒だったのに対し、T752/V8Hでは3.23秒と若干ながらハイブリッドドライブの性能が勝った。

 起動時間も計測してみた。これも5回起動を繰り返し、始めと終わりを除いた3回の平均をとった。T572は約15.67秒だったのに対し、T752/V8Hでは約10.33秒と、実に5秒以上の差が出た。ハイブリッドドライブでは、OSに関するファイルをフラッシュメモリに保存しているため、HDDのシークタイムの分だけ差が出る結果となったのだろう。

コピー速度および起動時間、3回の平均値(秒)

 全体的な計測結果を振り返ってみると、ストレージ性能が試される部分で、ハイブリッドドライブの確かな速さが証明されたと言える。ストレージ以外は同一仕様のモデルで、全く同じ設定で計測した結果であれば、疑いの余地はないはずだ。

 

 公称である4倍には届かなかったが、3倍近い差が出た部分もある。大容量のファイルを扱うことが多い現代、この差は以前にも増して大きく感じられるはずだ。

 大容量のファイルを頻繁に扱うユーザーは勿論のこと、そうでないユーザーも起動時間など、細やかな部分での恩恵が得られるであろうハイブリッドドライブモデル。搭載モデルの増えてきたこの機に、ぜひ一度試してみていただきたい。



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