ゲームは主に、NVIDIAがTegraシリーズに最適化されたAndroid/Windows RT用ゲームを集めたストアである「Tegra Zone」から入手できる。もちろんAndroidなので、GmailやFacebookといった一般的なAndroidアプリを使えるし、Google Playストアからアプリをインストールすることも(機能的には)可能だ。
さらにSHIELDでは、Tegra用のゲームだけでなく、PC用のゲームをプレイする機能も備える。と言っても、SHIELD上でそのままPCゲームを動かすわけではない。従来からNVIDIAは、Tegra 3搭載タブレットとある程度のパワーを備えたGeForce GTX搭載PCを組み合わせて、リモートデスクトップ的な機能を使って、PC上で動作しているゲームをタブレットの画面と操作で動かす機能をアピールしていた。SHIELDではその機能を標準搭載し、PCゲームをSHIELDの画面とコントローラーで遊べるようにしているのだ。
当然ながらSHIELDでPCゲームを遊ぶには、サーバー側となるPCはそれなりに高性能である必要がある。具体的には、GeForce GTX 650またはGeForce GTX 660M以上のGPUと、Core i5以上のCPUが必要で、そのほかに無線LAN接続はIEEE 802.11a/g/n以上であることも求められている。高性能ではあるが、PCゲーム用に構成したデスクトップPCであれば、この程度はそれほど高価なものではない。
このように魅力的な仕様を満載したSHIELDであるが、NVIDIAはこれをあくまで「プロジェクトである」としている。つまり、これをこのまま「NVIDIAが売ります」と言ってるわけではない。だから価格や発売時期も述べられていない。NVIDIAはGPUやSoCを開発して、それをOEMメーカーに販売するビジネスを展開する企業である。OEMメーカーの土俵であるハードウェア販売に飛び込むというのは、ありえないことではないが、かなり難しい面がある。
SHIELD自体はすぐにでも、製品化できそうなレベルにあるように見える。そこでNVIDIAが開発したSHIELDのリファレンスプラットフォームを、OEMメーカーに供給。製造と販売はOEMメーカーが担当するというGPUと同様のビジネスモデルを取るということも考えられる。あるいは、Tegra 4とSHIELDの中核を構成するソフトウェア群をNVIDIAが供給し、それをどういう形で製品とするかはOEMの裁量に任せるという、自由度の高い方式にするのかもしれない。これならSHIELDのような携帯ゲーム機そのものだけでなく、据え置きゲーム機型やテレビ内蔵型といった、製品も展開可能だろう。
いずれにしても、SHIELDは単なる「Tegra 4のテクノロジーデモンストレーター」程度のものではなく、なんらかのビジネスにつなげるものと思われる。そうなるとSHIELDの存在は、既存の携帯ゲーム機、特に高性能と汎用性を備えつつクローズドなプラットフォームである「PlayStation Vita」にとって、面白くない存在となりそうだ。
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