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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第28回

「ラストエグザイル‐銀翼のファム‐」千明孝一監督が語る、制作現場の壮絶な戦い

「GONZOブランド」を背負って立つアニメ監督の決意【後編】

2012年07月14日 12時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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(C)2011 GONZO / ファムパートナーズ

 アニメスタジオGONZO制作、「ラストエグザイル‐銀翼のファム‐」千明孝一監督へのロングインタビュー(前編はこちら)。「ファム」の作品作りを通じてGONZO若手スタッフの育成を目指した千明監督。若手スタッフは「準備不足」と厳しい指摘をしながらも、自らも若い頃を省みる。自らもアニメーター職についた後に、大きな挫折を経験していたという。演出職への転向を希望するも、チャンスが得られなかったそのとき、“偉大な恩人”に出会ったという。「人を育てる自信はない」と語る監督が、たどりついた若手育成の方法とは――。


プロフィール――千明孝一監督

 1959年生まれ。神奈川県出身。1979年にアニメーターとしてタツノコアニメ技術研究所に入所。劇場アニメ「ヴイナス戦記」(89年)で初演出後、マッドハウスOVA作品の監督経て、「青の6号」(98年)よりGONZOを拠点に活動。主な監督作品に、劇場アニメ「ブレイブ ストーリー」。TVアニメ「ゲートキーパーズ」「フルメタル・パニック!」「LAST EXILE」「ドルアーガの塔 ~the Aegis of URUK~」など。

ラストエグザイル-銀翼のファム- あらすじ

 空族の少女ファムとジゼルは、聖なる湖グラン・レイク上空で、アデス連邦とトゥラン王国との艦隊戦を目撃する。 和平会議のはずが、アデス連邦は一方的にトゥラン艦隊を攻撃。危機に瀕したトゥラン旗艦ラサスに、リリアーナとミリア、2人の王女の姿を見とめたファムは、戦場からラサスの奪取=王女の救出を決意する。

公式Webサイト

http://www.lastexile-fam.com/

「家につく猫」のように会社に居着いた

―― 「ラストエグザイル―銀翼のファム―」制作にあたって目標に置いたのは、前作「LASTEXILE」(2003年)のクオリティーを下げず、「GONZOブランド」を維持することだと伺いました。クリエイターを社内スタッフにすることが難しく、GONZOの特徴でもあったデジタル班が別会社になるなど、変化した社内体制での作品作りに苦労されたということでしたが、監督ご自身がフリーランスになる選択肢もあったわけですよね。苦労をしつつ、それでもGONZOという会社に籍を置く理由は何でしょうか。

千明 絶え間なくチャンスをもらえたことが大きいですね。「青の6号」終了直前に、当時の社長の村濱(章司)さんから「ゲートキーパーズ」の監督に推してもらいました。テレビシリーズの監督をするのは演出家である僕の夢だったから、すごくうれしかったです。

 その後映画「ブレイブストーリー」の監督もさせてもらいました。もし僕が、長い期間一つのスタジオで仕事する形を選んでいなかったら、劇場作品を監督するチャンスはなかったと思っています。

 僕は、フリーランスの期間が長かったので、作品が終わるたびに“営業”も含めて何から何まで個人で一から始める大変さが身にしみています。GONZOに籍を置くようになってからは、作品を重ねるたびに、会社もこちらも互いをより深く理解したうえで仕事の発注が続いていく。これはとてもありがたい状況ですし、今後も大切にしていきたいと思っています。

(C)2011 GONZO / ファムパートナーズ

―― なるほど。それで「ファム」の作品づくりを通じて、会社に貢献しようと思われたわけですね。

千明 貢献というより、チャンスをたくさんもらったことへのお返しですね、GONZOという会社には多少なりとも愛着があるので。飼い主ではなく“家に付く猫”みたいな感じでしょうか。だから年数を経てチョット見栄えが悪くなったGONZOという家も、長い期間住んだからこそわかる良いところもあるわけです。

 そして、それ以上に足りないところも目に付いてしまいます。

 一番の足りないところは、まずはアニメーターなどの“描き手”が足りないこと。ここ数年を見ていると、良い作品を作っているスタジオの多くが有能なスタッフを囲い込む方向に進んでいると思います。 優れたスタッフを多く抱え、きちんとしたフィルムを作り続けるからこそ仕事も回っていく。 企画書に名前の知られた監督やキャラクターデザインの名前を書いて、「企画が通ったから上手なアニメーターを探してこい!」では現場は動けません。GONZOについては、特に若いスタッフの育成が必要だと思います。ですから「ファム」を通して、少しでもスタッフを育てていければいいなと思いました。

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