お金を取るということは、
リスナーに制限をかけて音源を渡すことになる
―― マルチネの音源はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで無償頒布されていますが、最初から無料だったんですか?
Tomad はい。有料で売る気はマルチネではないので。
―― でも始めたのは2005年で、日本ではiTunesが始まった年です。これから音楽配信が来ると、世間では盛んに言っていた時期ですよ。
Tomad でも、そもそも今のインターネットの原理上、コピーは歯止めが効かないわけですよね? いくらプロテクトをかけたとしても。それでお金を取るということは、リスナーに制限をかけて音源を渡すことになる。それはもう無理なんじゃないかと思ったんですね。
―― それはプロテクトがかかってない状態でも、ということですよね。
Tomad はい。本当にいい音楽だったら、どんどん人に渡して欲しいし、広がっていくはずなんです。だから無料にして、どんどんアーティストの知名度を上げたほうがいいと思うんです。音源を売ったら多少は儲かるかも知れませんが、たかがしれているので。
―― 人が耳にする機会を失うだけ、と。しかし欲がないですね。
Tomad いや、欲はあるんですよ。あるからこういうレーベルも続けているわけなので。
―― それはどんな欲なんですか?
Tomad 今の時代、最初からお金を持っている人じゃなければできないことが多い。だから新しい、何か面白そうなところに、常にいたいということですね。自分で面白い場所を作っていきたい、イベントとか。
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