ZENBOOKを超えた!?
Ultrabook最速のパフォーマンス
Aspire S3の特徴のひとつが、Ultrabookとしては優れた性能だ。冒頭でも述べたとおり、CPUに超低電圧版のCore i7-2637M(1.70GHz)を採用。ストレージには240GBのSSDを内蔵している。グラフィックス機能はCPU内蔵機能を使うので大したことはないが、Core i7とSSDのコンボは優れた性能が期待できる。
まずはWindows 7のWindowsエクスペリエンスインデックスの値を見てみる。グラフィックスが最低値なのはもはや当然だが、CPUの値は「6.9」、ストレージ(プライマリハードディスク)に至っては計測最高値の「7.9」に達している。連載123回で評価したASUSTeKのUltrabook「UX31E」(Core i7-2677M 1.80GHz)と比べると、CPU性能はほぼ互角(グラフィックスがやや遅い)でストレージ性能はやや上回るという高性能ぶりだ。
ストレージ性能の優秀さは、ストレージベンチマークプログラムの「CrystalDiskMark」の結果でも裏付けられた。シーケンシャルリード性能の約480MB/秒も優秀だが、NCQ使用時のランダムリード・ライト性能も優れている。
この高速ストレージ性能が遺憾なく発揮されるのが、Windowsの起動やスリープ復帰の速さだ。試用機では電源オンからWindowsパスワード入力画面が表示されるまで、わずか25秒程度で起動する。それ以上に速いのがスリープ復帰で、液晶ディスプレーの開閉で復帰するように設定してあると、パネルを開いてディスプレーが視野に入る頃には、もうWindowsの画面が表示されているほどだ。ここまで来ると、確かにタブレット並みの快適さと言える。ストレージにメモリー内容を書き出してスリープする休止状態からの復帰も、公称値で6秒という速さを誇る。
総合ベンチマークソフト「PCMark 7」の結果を見ても、ストレージ性能の高さが快適さの向上につながっていることがうかがえる。比較対象のUX31Eもかなり高速な方だが、それをやや上回るほどの性能を発揮した。Aspire S3のHDDモデルと比べると、同じシリーズとは思えないほど速い(関連記事)。
バッテリー駆動時間についても検証してみた。なお、電力設定に関する独自プログラムは搭載していないので、Windows標準の電力設定を使用している。テストにはバッテリーベンチマークプログラム「BBench」※1を使い、省電力モードでウェブブラウジング+キー入力をするテスト環境(バックライトは30%)と、バランスモードで720pのHD動画(Windows 7に付属の野生動物.wmv)を再生させ続けるテスト環境(バックライト90%)の2種類を計測してみた。
※1 巡回するウェブサイトは現状に合わせて、標準設定から変更している。
省電力モードではウェブブラウジングをしながらでも6時間を超えるなど、かなりのスタミナぶりを発揮した。HD動画再生時は、CPUの動作周波数が800~1.3GHz程度で上下しながら、4論理コア中2コアが10~30%程度の負荷で動き続けていた。この傾向はUX31Eでのテストとほぼ同様だ。UX31Eと比べると、やや駆動時間は短かったが、おおむね同等のバッテリー性能と言っていいだろう。
★
キーボード配列に気になる面はあるものの、Aspire S3のCore i7+SSDモデルは、タブレット的なスピーディーな起動・復帰を実現しつつ、高速SSD搭載による快適さが光るUltrabookに仕上がっている。タブレットではなくパソコンを選ぶ以上、快適さは重視したいもの。その点でAspire S3は、いい選択肢になる製品と言えよう。
Aspire S3-951-F74U の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i7-2637M(1.70GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 13.3型 1366×768ドット |
ストレージ | SSD 240GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
インターフェース | USB 2.0×2、HDMI出力、SDメモリーカードリーダー(SD/SDHC/MMC)など |
サイズ | 幅323×奥行き218.5×高さ13.1~17.5mm |
質量 | 約1.33kg |
バッテリー駆動時間 | 最大約7時間 |
OS | Windows 7 Home Premium SP1 64bit版 |
価格(予想実売価格) | オープンプライス (13万円前後) |
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