チャンスは、いきなり転がり込んできた。なんとデイ2初っ端のSS7、トップの明治スターレットがスピン! ここだけで約16秒を失い、今イベント初のステージベストを獲ったメロン号との差が一気に約24秒まで縮まったのだ。残るSSは5本18.53km、このままメロン号が激走を続けて1kmあたり約1.3秒上回るスピードで走れば、トップの明治スターレットを捉えられる。まだまだ厳しい道のりだが、ほんのわずかに開いた扉の隙間から勝機が見えてきた!!
続くSS8こそ明治スターレットに1.1秒先行されるが、SS9ではメロン号が2本目のステージベストで差は18.7秒に。依然として状況は厳しいが、あと1回、あと1回でも明治スターレットがほんのわずかなミスを犯せば、このタイム差ならじゅうぶんに追いつくことができるだろう。このままフルアタックだ!
ところが……。ちょうどSS9を走り終えた直後に、メロン号から緊急連絡。
コドライバー・田中選手「ミッションの調子が良くありません。おそらくファイナルギヤが壊れかけてる。このままアタックを続けますが、最悪の状況も覚悟していてください」
なっ、なに──ッ!? 逆転の目が見え始めた矢先にこれだ。電話の向こうからでも、はっきりと大きな異音が聞こえてくる。デイ2は朝にスタートしていけば、後は昼のゴールまでサービスタイムが無いので、チームとして手の出しようが無い。逆転優勝どころか、完走すら危うい状況だ。ここまで追い上げてきて、最後の最後でメロン号の無事な帰還を待ち続けるしかないとは……。
SS(距離) | ステージタイム(トップ差) | クラス総合タイム(トップ差) |
---|---|---|
SS10/Houraisen-Short II (2.49km) | 2:16.1(+0.5) | 52:46.0(+16.5) |
SS11/Boy-Scout II (3.34km) | 2:37.2(TOP) | 55:23.2(+14.0) |
SS12/Ohbira II (4.68km) | 4:18.3(TOP) | 59:41.5(+9.1) |
チームブースには、トラッキングモニターとともにメロン号から送られてくるライブインカー映像を映し出すディスプレイが設置されている。すでにメロン号のミッション不調の情報は広まっていて、チームは多くのファンと一緒に、残る3本のアタックをハラハラした気分で眺め続けていた。
そんな中、満身創痍のメロン号の走りは圧巻だった。SS10は松本琢史選手/萌抜浩史選手組ロータスエキシージにベストを奪われたが、メロン号は0.5秒遅れの2番時計を確保して、順位も3番手に浮上。まるでミッション不調が嘘だったかのように、SS11ではこの日3本目となるステージベストをゲット。逆転まで、あと14秒!!
今回のイベント最終、そしてMRC2011にとっても最後のアタックとなる、SS12「Ohbira II」。電波状況によって断続的になりがちなライブインカー映像でも、メロン号がとてつもないスピードでアタックしていることがわかる。先にフィニッシュした明治スターレットのタイムは、4分23秒2。同じステージを使ったSS9でのメロン号のタイムは4分13秒3だから、1本目より約4秒タイムを上げれば、トップを捉えることができる。壊れかけたミッションを抱えたメロン号が、はたしてこのタイム差をひっくり返すことができるか!?
そしてメロン号のタイムは……残念ながら1本目より5秒遅い、4分18秒3。2位浮上をはたすものの、わずかに9.1秒、トップに届かず! 9.1秒なんて、普段の感覚ならほんの一瞬、でも今は分厚く高い壁のような9.1秒だ。しかしデイ2をスタートした時点では、トップまで50秒以上ものタイム差があったのだ。満身創痍のなか、よくやったメロン号&眞貝・田中ペア!!
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