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ミクZ4、3年目の本気! SUPER GT激闘記 第44回

自転車もGTもF1も、ガチで取り組むのが右京流

片山右京に聞いた! 2011年のF1とミクGTプロジェクト

2011年11月04日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 ●撮影/小林伸

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SUPER GTに1年間参戦してみてどうでした?

── それでは、話題をSUPER GTに変更します。ずばり、今年のミクZ4の勝因を教えてください。

右京SD やっぱり谷口選手の加入が大きかったね。彼がチームの雰囲気を変えて、引っ張っていった部分はある。ドライバーって本来そういうものだし。彼のチャンピオンに対する熱意に、みんなもやる気にさせられたってことかな。ドライバー、タイヤ、メンテナンスのどれが欠けても今期のチャンピオンはなかった。僕の仕事はタイヤメーカーやドライバーのお尻をちょっとつねることだったんだ(笑)。

── ちょっとつねる、ですか(笑)。では、今シーズンで印象に残っているレースはどれですか?

右京SD 印象に残っているレースはいっぱいあるよ! セパンの辛勝とか、オートポリスでピットアウトしたときに#11 JIMゲイナー 458に前に行かれちゃったこととか。あれ、みんな番場選手だ(笑)。でも、彼もドライバーとして成長しましたよね。それだけで本が1冊書けそうなくらいの成長ドラマがあった。谷口選手っていう絶対的な物差しがあったから大変だったと思うけど、最終戦前なんかは速いだけじゃなくて強くなったなあと思いました。谷口選手からいつもキツイこと言われて、僕もチクチク言って。そして、安藝さんだけがいつも優しく接して(笑)。

── 最終戦ではスタートドライバーを見事に務めましたもんね。

右京SD 実は僕、去年の最終戦のスピン事件(関連記事)を知らなかったんですよ。だから、スターターを番場選手にしたとき、チーム内に走ったあの緊張感はなんだ? っていう(笑)。作戦の幅を考えたら番場選手からのスタートだって当たり前なんですよ。レース後半で平中選手にぶつけるよりは、最初にポールから逃げ切ったほうがリスクは少ないし。それなのに、なんでみんな渋い顔してるんだろうなと(笑)

── 去年のスピンはそれだけ(応援シートのファンにも)衝撃的だったんです(笑)。ところで、右京SDは今年初めて見たと思うんですけど、「個人スポンサー」という制度はどう思いました?

右京SD みんな、スポンサーっていう立場で観戦してるんじゃなくて、初音ミクちゃんやチームが好きで、その思い入れに応えようとドライバーが頑張って、それで結果が出ればファンも自分たちのことのようにうれしいから、より感情移入しやすいですよね。だから、チームとファン、みんなが1つになれたんだと思う。今までのレース界にはなかった動きですよね。

 あと、今年最大の収穫は、個スポのみんなが絶対に人の悪口を言わないってことでしょうか。「末代まで祝ってやる!」っていう、あの一言に尽きますね(笑)。今後、色紙とかに座右の銘を書いてくれとか言われたら「末代まで祝ってやる!」って書きたいくらいです。

── 今年はチャンピオンを獲れましたが、来年はどうでしょう?

右京SD チャンピオンは取れるときに取っておかないとね。来年からはライバルたちがよりいっそう牙を剥いてくるから、確実に苦しい戦いになるでしょう。ただ、2度目のチャンピオンを取ることに大きな意味があると思う。1回はまぐれかもしれない。でも、2回取れればその実力が本物だとアピールすることになるから。レースだけじゃなくて、すべてのスポーツに言えることかもしれないけど、メーカーや選手が切磋琢磨してみんな1位を狙ってるから、ちょっと油断すると2位以下になっちゃうんですよ。もっともがき苦しまないとダメなんだろうなぁ。そういうときこそ「充実してる」と実感するんですが(笑)。


── 久々のレースの現場は楽しかったですか?

右京SD やっぱり、現場はいいね。みんなで喜びも悲しみも共有できるから。人生でチャンピオンなんてなかなか経験できないし、その場にいられるって最高だと思うんだ。最高に楽しかったけど、それ以上に(このチームには)カルチャーショックを受けた。昔、ワークスでル・マン24時間に出たり、F1でティレルでやってたときなんかとは環境が違うんですよ。ミーティングひとつとっても、ある部分はアットホーム、ある部分は何もわかってなかったり。それでもチャンピオン取れちゃったし(笑)。でもこういうのが、今後世界的不況でお金の流れが変わっても生き残っていくチームなんだろうなと。特にGSRは車に貼ってあるスポンサーが自動車業界じゃないメーカーばかりだしね。「なんだろう、このステッカー?」みたいな(笑)。

── メインスポンサーのGSRからして、自動車業界とはちょっと違いますからね。

右京SD 僕らが知らないという理由だけで「特定のマーケットで」みたいな言い方してたけど、実際にアニソンライブだとかフランスのフェス(JAPAN EXPO)だとかを見ていると、もはや世間的にはごく普通なんですよね、ミクちゃんとかも。

── 最後に来年の抱負をお聞かせください。

右京SD 結果というのはやってみないとわからない。でも、たった1回の人生だから、みんなで自分たちができることを精一杯やって、それが楽しいことに繋がったらいいなあと。

 あと、今後は自転車の世界でもニコ生やりたいので、今度コツを教えてください(笑)。

── 本日はありがとうございました!


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