日本版Huluは“Netflix”と戦うことになる
日本版Huluと同じように、ビデオレンタルをネット配信に置き換えたサービスがアメリカにある。それが「Netflix」だ。日本版Huluがあくまで米国の映画や連続ドラマの一部をカタログにしているのに対し、NetflixはレンタルDVDに提供されている各種多様な作品を対象にしている。そのため顧客層はNetflixの方がより幅広い。
Netflixはもともと宅配型ビデオレンタル業を営んでいたが、いわゆる「借り放題」のディスク発送コストに悩まされていた。宅配型レンタルは、配送料も会費に含んでいるため、発送回数が増えるほど収益を圧迫することになる。
だがNetflixは”Watch Instantly”というメニューでそれを解消している。
米国の著作権法には、FSD(First Sale Doctrine)という規定(109条a)がある。著作権者が持つ頒布権(著作物を独占的に配ったり売ったりする権利)は、その著作物を売却した時点で消尽するというものだ。簡単に言えば、ビデオを買った人が、それを人に見せたり、また貸しするのも自由ということになる。Netflixはこの規定を根拠に仕入れたDVDを”Watch Instantly”(郵送されてくるのを待たずにオンデマンドですぐに見られる)サービスとして、ネット配信している。
このサービスはたちまち支持を拡げ、現在では、インターネット接続型のテレビや、XBOX、PS3などのゲーム機、そしてApple TVなどのSTB(セットトップボックス)のほとんどにNetflixへの接続メニューが予め用意されている。もともと店舗型レンタル店大手のBlockbusterも、後追いで同様のサービスを始めたがその競争に敗れ、2010年9月に破産、今年2月には身売りをするに至っている。
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