6月27日、AMDはデスクトップ向けFusion APU「Llano」こと「AMD A」シリーズ用のチップセット「AMD A75」および「AMD A55」を発表した。対応APUは発売されていないものの、マザーボードに関しては各ベンダーとも準備を進めており、順調なら本記事が掲載される頃には店頭に並んでいるはずだ。
今回は「AMD A75」チップセットを搭載したGigabyte製マザーボード「GA-A75-UD4H」を入手できたため、ファーストインプレッションを兼ねて写真を使ってチェックしていきたいと思う。
AMD A75/A55チップセットとは?
Fusion APUでは、CPUコア、GPUコア、ノースブリッジの3つの機能が統合されている。そのため、チップセットには主にサウスブリッジの機能を持つ「Fusion Controller Hub」(以下FCH)を使用することになる。
すでに発売されている省電力向けの「AMD E」シリーズには、対応FCHとして「AMD A50M」が用意されていたが、デスクトップ向けのAMD Aシリーズには今回発表されたAMD A75/A55を組み合わせる。
チップセットスペック | ||
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チップセット名 | AMD A75 | AMD A55 |
対応ソケット | Socket FM1 | Socket FM1 |
USB3.0 | 4 | - |
USB2.0 | 10 | 14 |
USB1.0 | 2 | 2 |
SATA3.0 | 6 | - |
SATA2.0 | - | 6 |
RAID対応 | 0/1/10 | 0/1/10 |
TDP | 7.8W | 7.5W |
PCI Express | PCI Express(x4)×1 | PCI Express(x4)×1 |
上位版のAMD A75がサポートするインタフェースはSATA3.0×6、USB3.0×4、USB2.0×10、PCI Express 2.0(x4)×1レーンで、最大の特徴はチップセットとしては初めてUSB3.0を標準でサポートすることだ。これにより、チップセットの機能だけでSATA3.0とUSB3.0両方のインタフェースを実現可能となっている。
一方、廉価版のAMD A55ではこれらのサポートが省かれており、対応インタフェースはSATA2.0×6、USB2.0×14、PCI Express 2.0(x4)×1レーンとなっている。
新ソケット「Socket FM1」
AMDでは「Socket AM2」から「Socket AM3+」まである程度互換性を保ちつつソケットを変更してきた。しかしFusion APUとなるAMD Aシリーズでは、プロセッサに搭載される機能も大きく変わったことから、ソケット形状もこれまでとは互換性のない「Socket FM1」へと変更された。それに合わせてリテンションの形状も変更されているが、基本的にはSocket AM2/AM2+/AM3/AM3+のCPUクーラーをそのまま使うことができる。ちなみにリテンション固定ネジの位置がこれまでと同じになっているので、バックプレート固定式のクーラーも問題ないだろう。
「AMD A75」を採用したメインストリーム向け最上位モデル
「GA-A75-UD4H」
Gigabyteより発売予定のAMD A75搭載マザーボードは、ATXサイズが2モデル、micro ATXサイズが2モデルの計4モデル。「AMD A」シリーズがメインストリーム向けの製品ということもあり、新プラットフォームとしては価格的にも比較的手頃なラインナップとなっている。
A75採用Gigabyte製マザーボードラインナップ | ||
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型番 | フォームファクタ | 市場想定売価 |
「GA-A75-UD4H」 | ATX | 1万4000円 |
「GA-A75-D3H」 | ATX | 1万2000円 |
「GA-A75M-UD2H」 | micro ATX | 1万2000円 |
「GA-A75M-D2H」 | micro ATX | 1万円 |
今回チェックするGA-A75-UD4Hは、そのなかでも最も上位に位置付けされるモデル。電源フェーズは8(CPU)+2(メモリ)の計10フェーズ。拡張スロットはPCI Express(x16)×2、PCI Express(x1)×3、PCI×2という構成で、マルチグラフィックス機能のCrossFire Xに対応する。
また、基板は2オンス銅箔層の採用により発熱を低減する同社独自の「Ultra Durable 3」に対応し、低発熱なRDS(on) MOSFETや長寿命の日本製固体コンデンサを採用するなど、Gigabyteのマザーボードらしく品質にもこだわった作りになっている。
既に同社のウェブサイトには製品情報が上がっており、対応CPUについてもCPUサポートリストから確認できる。気になる方はこちらをぜひ参照してもらいたい。
「GA-A75-UD4H」基本スペック | |
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フォームファクタ | MTX |
チップセット | AMD A75 |
対応ソケット | Socket FM1 |
メモリスロット | 4 (DDR3 1833/1600/1333/1066対応) |
拡張スロット | PCI Express2.0(x16)×2/PCI Express(x1)×3/PCI×2 |
内部ポート | SATA3×5 |
バックパネル | D-sub×1 DVI-D×1 HDMI×1 DisplayPort×1 ギガビットイーサネット(Realtek RTL8111E)×1 USB3.0(EtronTech製「EJ168A」)×4 USB2.0×2 PS/2×1 IEEE 1394×1 eSATA3×1 7.1ch HD AudioCodec(Realtek ALC 889) |
対応APUの登場を期待して待ちたい
今回紹介したGigabyteのGA-A75-UD4Hは、最上位マザーらしく豊富なインタフェースを搭載し、Ultra Durable 3、RDS(on) MOSFET、長寿命の日本製固体コンデンサを採用することで安定性や長寿命にも配慮している。さらに想定市場売価は1万4000円前後とコストパフォーマンスにも優れ、Fusion APUでメインマシンを作りたいならおすすめの製品だ。
対応マザーボードの登場によりAMD Aシリーズを使う準備は整った。肝心のAPUはまだ登場していないが、こちらも間もなく販売が開始されるとのことなので、マザーボードの準備をして新APUの登場をワクワクしながら待つのもいいのだろう。