AMDから1月4日に発表された、同社初のCPU/GPU統合プロセッサ「Fusion APU」。第1弾としてリリースされた「Eシリーズ」と「Cシリーズ」はいずれも低価格、省電力向けで、これまでAMDが苦手としてきたレンジに投入された製品だ。
今回は発売されたばかりのGigabyte製マザーボード「E350N-USB3」を使用して、AMDが満を持して発売したCPU/GPU統合プロセッサFusion APUのパフォーマンスをチェックしていくことにしたい。
CPUからAPUへ
3つの機能を統合した「Fusion APU」
まずはFusion APUについて簡単に解説していきたい。Fusion APUには、CPUコア、GPUコアに加えてノースブリッジの機能も統合されており、AMDではこれまでのCPU(Central Processing Unit)から、新しいプロセッサ形式として「APU(Accelerated Processing Unit)」と定義している。
今回Fusion APUの第1弾として発表されたのが、コードネーム「Zacate」と呼ばれているノートPCおよび一体型プラットフォーム向けの「AMD Eシリーズ」と、ネットブック向けの「Ontario」こと「AMD Cシリーズ」の2シリーズ。
両モデルともCPUコアには低消費電力向けに新規設計された「Bobcat」を採用し、それをシングルまたはデュアルで搭載する。GPUコアは「Radeon HD 5430」をベースに強化を加えた「Radeon HD 6310」(Eシリーズ)または「Radeon HD 6250」(Cシリーズ)。Radeon HD 6310とRadeon HD 6250の違いは動作クロックのみで、80基のシェーダープロセッサ、DirectX11対応、UVD3の動画支援機能を搭載する点などは同様となる。そのほか、メモリコントローラはDDR3-800/1066対応。シングルチャネルで最大2DIMMまでをサポートする。
Fusion APUの主な仕様は以下の通りだ。
「Fusion APU」スペック表 | ||||
---|---|---|---|---|
GPU | E-350 | E-240 | C-50 | C-30 |
開発コードネーム | Zacate | Ontario | ||
コア数 | 2 | 1 | 2 | 1 |
動作周波数 | 1.6GHz | 1.5GHz | 1GHz | 1.2GHz |
2次キャッシュ | 1MB | 512KB | 1MB | 512KB |
内蔵グラフィックス機能 | Radeon HD 6310 | Radeon HD 6250 | ||
内蔵グラフィックス周波数 | 500MHz | 280MHz | ||
TDP | 18W | 9W |
また、今回発表されたFusion APUに組み合わせるチップセットは、専用に開発されたFusion Controller Hub(以下FCH)「AMD A50M」を使用する。インターフェースとしてSATA3.0(6Gbps)×6、USB 2.0×14、PCI Express 2.0 x1×4レーンを備えている。
E-350を搭載したGIGABYTE「E350N-USB3」
今回テストに用いるのは、APUとして「E-350」(1.6GHz)を採用するGIGABYTE製のE350N-USB3だ。Mini-ITXサイズのマザーボードながら、SATA3.0(6Gbps)が4ポート、USB3.0が2ポート用意されるなど最新のインターフェースにもしっかりと対応している。
メモリスロットはDDR3 DIMM×2、拡張スロットはPCI Express x16を1基備えるが、FCHの制限により内部接続はPCI Express2.0 x4となっている点には注意が必要だ。
また、GIGABYTE製マザーボードお馴染みの機能として、マザー冷却技術「Ultra Durable3」、USBで3倍の電力供給を可能にする「USB Power 3x」、BIOS保護機能「Dual BIOS」にも対応する。
BIOSについても確認しておこう。GIGABYTEのマザーボードらしく設定項目は比較的豊富。「MB Intelligent Tweaker」ではCPUクロック、メモリクロック、GPUコアクロックに加えて、各種電圧の変更も可能となっている。ただ、今後のBIOSアップデートで変更される可能性もあるため、こちらは参考程度に考えてほしい。
(次ページへ続く)
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