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最新パーツ性能チェック 第106回

AMDの「Fusion APU」は省電力PCの救世主となるか?

2011年02月19日 12時00分更新

文● 池座 優里

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 AMDから1月4日に発表された、同社初のCPU/GPU統合プロセッサ「Fusion APU」。第1弾としてリリースされた「Eシリーズ」と「Cシリーズ」はいずれも低価格、省電力向けで、これまでAMDが苦手としてきたレンジに投入された製品だ。

10月のイベントで披露された「Zacate」こと「AMD E」シリーズ。ご覧のように非常に小さい

 今回は発売されたばかりのGigabyte製マザーボード「E350N-USB3」を使用して、AMDが満を持して発売したCPU/GPU統合プロセッサFusion APUのパフォーマンスをチェックしていくことにしたい。

CPUからAPUへ
3つの機能を統合した「Fusion APU」

 まずはFusion APUについて簡単に解説していきたい。Fusion APUには、CPUコア、GPUコアに加えてノースブリッジの機能も統合されており、AMDではこれまでのCPU(Central Processing Unit)から、新しいプロセッサ形式として「APU(Accelerated Processing Unit)」と定義している。

AMDの資料から抜粋した「Fusion APU」の構成図。ダイの多くをGPUコア占有していることがわかる

 今回Fusion APUの第1弾として発表されたのが、コードネーム「Zacate」と呼ばれているノートPCおよび一体型プラットフォーム向けの「AMD Eシリーズ」と、ネットブック向けの「Ontario」こと「AMD Cシリーズ」の2シリーズ。
 両モデルともCPUコアには低消費電力向けに新規設計された「Bobcat」を採用し、それをシングルまたはデュアルで搭載する。GPUコアは「Radeon HD 5430」をベースに強化を加えた「Radeon HD 6310」(Eシリーズ)または「Radeon HD 6250」(Cシリーズ)。Radeon HD 6310とRadeon HD 6250の違いは動作クロックのみで、80基のシェーダープロセッサ、DirectX11対応、UVD3の動画支援機能を搭載する点などは同様となる。そのほか、メモリコントローラはDDR3-800/1066対応。シングルチャネルで最大2DIMMまでをサポートする。
 Fusion APUの主な仕様は以下の通りだ。

「Fusion APU」スペック表
GPU E-350 E-240 C-50 C-30
開発コードネーム Zacate Ontario
コア数 2 1 2 1
動作周波数 1.6GHz 1.5GHz 1GHz 1.2GHz
2次キャッシュ 1MB 512KB 1MB 512KB
内蔵グラフィックス機能 Radeon HD 6310 Radeon HD 6250
内蔵グラフィックス周波数 500MHz 280MHz
TDP 18W 9W

 また、今回発表されたFusion APUに組み合わせるチップセットは、専用に開発されたFusion Controller Hub(以下FCH)「AMD A50M」を使用する。インターフェースとしてSATA3.0(6Gbps)×6、USB 2.0×14、PCI Express 2.0 x1×4レーンを備えている。

E-350を搭載したGIGABYTE「E350N-USB3」

 今回テストに用いるのは、APUとして「E-350」(1.6GHz)を採用するGIGABYTE製のE350N-USB3だ。Mini-ITXサイズのマザーボードながら、SATA3.0(6Gbps)が4ポート、USB3.0が2ポート用意されるなど最新のインターフェースにもしっかりと対応している。
 メモリスロットはDDR3 DIMM×2、拡張スロットはPCI Express x16を1基備えるが、FCHの制限により内部接続はPCI Express2.0 x4となっている点には注意が必要だ。
 また、GIGABYTE製マザーボードお馴染みの機能として、マザー冷却技術「Ultra Durable3」、USBで3倍の電力供給を可能にする「USB Power 3x」、BIOS保護機能「Dual BIOS」にも対応する。

Fusion APUを搭載した、Gigabyte製マザーボード「E350N-USB3」。実売価格は1万4980円前後

Fusion APUと「FCH」をカバーするヒートシンクには4cmファンが搭載されている。採用されているコンデンサはすべて固体コンデンサ

「AMD A50M」によるSATA3.0(6Gbps)ポートを4基備える

同社独自の「Dual BIOS」にも対応

スロット形状はPCI Express x16だが、内部接続はFCHの制限によりPCI Express 2.0x4となる

バックパネル部。ディスプレイ出力は、RGB、DVI-D、HDMIの3種類を備える。さらに、ルネサステクノロジー製チップによるUSB3.0×2、USB2.0×4、サラウンド入出力、Gigabit Ethernetが用意されている

 BIOSについても確認しておこう。GIGABYTEのマザーボードらしく設定項目は比較的豊富。「MB Intelligent Tweaker」ではCPUクロック、メモリクロック、GPUコアクロックに加えて、各種電圧の変更も可能となっている。ただ、今後のBIOSアップデートで変更される可能性もあるため、こちらは参考程度に考えてほしい。

最近流行のUEFIではなく、従来からあるBIOSを採用している

「MB Intelligent Tweaker」には多くのオーバークロック設定が用意されている

GPUコアクロックの設定。設定範囲は300~2000MHzとなっている

FSBによるCPUのオーバークロックにも対応する

CPUファンの回転速度は4300rpm前後。4cm角と口径が小さいため騒音はほとんど気にならない

(次ページへ続く)

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