実はIBM時代から取り組んできた機能
取材に応じてくれたレノボ・ジャパンの今井 拓水さんはピークシフトについて「もともとは電力会社などの要請により、独立したソフトとして提供してきたもの」だと話す。「IBM ピークシフトユーティリティー」という名称で電力会社向けに開発したものだ(関連記事)。
「当初は限定した機種で使う、限定した顧客に向けたソフトでしたが、ThinkPadの標準機能として、今後ワールドワイドで展開していきます。準備は昨年から進めており、(震災や計画停電など)日本特有の事情で搭載した機能ではありません」
日本アイ・ビー・エムがピークシフトの研究を開始したのは2000年前後。しかし、当時のノートパソコンのバッテリー駆動時間は今よりもずっと短かった。ピークシフトはモバイルではなく据え置きで使うものだが、デスクトップ代替ノートの駆動時間はもって1~2時間というケースも少なくなかった。これではピークシフトしようにも時間が足りない。限定した顧客に限定した機種でという背景にはこうした事情があった。
スタートから10年がたったいま敢えてピークシフトの機能を取り入れたのは、現在のノートの駆動時間であれば「ピークシフトに現実味が出てくる」からだ。例えば3月末に発表されたThinkPad T420の駆動時間は標準で6時間。各種オプションバッテリーを組み合わせれば10時間を超す駆動時間を得ることも難しくはない。
ピークシフトの設定方法
ピークシフトはThinkPadユーザーにはおなじみのユーティリティー「省電力マネージャー」の1機能として提供されている。省電力マネージャーにはこの春のバージョンアップで「電源スケジュール」という新機能が追加された。これは電力設定(スリープに入るまでの時間やディスプレー輝度といった省電力用の設定)を、時間帯ごとに切り替えられるものである。ピークシフトはこの電源スケジュールで設定可能な項目のひとつである。
具体的には「ピークシフト開始」(バッテリー駆動開始)、「バッテリー消費終了」(充電はせずAC電源のみで駆動)、「充電禁止の終了」という3つの時刻を電源スケジュールに登録しておく。曜日・日単位で繰り返す設定も可能だ。
そして、利用者のパソコンがピークシフトモードに入ると、ツールバー上のACアダプターアイコンが黒から緑に変化。ピークシフト動作(あるいは充電停止状態)に入ったという主旨のアラートが出る。バッテリーの放電が停止してもすぐに充電が始まるわけではなく、夜間に実行される。仮に電源が落ちていても、自動的に充電が始まるので問題ない。