次世代バージョンで統合されるAndroid
Androidの話題としては以前からウワサされているように、タブレット向けのAndroid 3.0と、スマートフォン向けのAndroid 2.3が統合され、両方をサポートする次世代バージョンが登場する。これについてはグーグルブースで説明員に確認することができた。
この次世代Android(4.0になる?)のコードネームについては、“I”で始まることから「Ice Cream」というウワサだったが、説明員は「我々は仮にIvoryと呼んでいる」と語った。これではなんだかコードネームのコードネームみたいだが、Android 3.0(Honeycomb)のコードネームがサムスンの役員の発言からバレてしまったので情報管理に少々敏感なのかもしれない。
そのAndroid 3.0では、画面の解像度が高くなるため、これを有効に使えるように「Fragment」と呼ばれる画面オブジェクト(Activityの一種)が導入される。このFragmentとは、画面を縦に分割し、必要に応じて、横に引き出して使うものだ。たとえば、メールなら、メッセージのリストとメッセージ表示をそれぞれをFragmentとしておくことで、縦向きに使うなどして、横方向の解像度が足りなくても、フラグメントを引き出してメッセージ表示領域を大きくしたり、縮めてメッセージリスト側を大きく見せることも可能になっている。
タブレットとスマートフォン版が統合される次世代のIvory(?)では、このFragmentを使わないと、おそらくアプリケーションを解像度の低いスマートフォンからタブレットまでに対応させることは困難になる(もちろん自分で細かく対応することはできるがかなり面倒)。
Androidが当たり前になってしまったあとに
端末メーカーは一体どうする?
一方で端末メーカーは、Androidについて手放しで喜んでいるわけでもない。グーグルのお墨つき端末について「Google Experience Device(GED)」とも呼ばれるように、どのメーカーが作っても、ユーザーにもたらされる“体験”はあくまでグーグルであり、端末ごとに各メーカーの特徴が出しにくい。
これまでの携帯電話では、ハードウェアやソフトウェアの両方で特徴を出してきたことを考えると、苦労して開発してもユーザーの印象は「Android」であり「Google」であって、メーカーの製品という感覚が希薄になってしまっている。
また通信事業者にしてもメール機能がGmail、動画配信サイトがYouTube、地図ソフトがGoogleマップと基本的なサービスはすべてGoogleのもの。通信事業者独自のサービスを入れることは、カスタマイズの手間を増やし、かつコストが必要となる。そう考えると、通信事業者からも特徴の出しにくい端末であるといえる。
スマートフォンやタブレット型端末といったフォームファクターの立ち上がり時期はこれらの特徴で売ることができても、こういった特徴が有効な時間は短い。またAndroidのアップグレードは、再度の通信事業者によるテストが必要であり、メーカーに大きな負担がかかる。
アップグレードを求めるユーザーの声はメーカーにはもちろん聞こえているものの、内部ソフトウェアが大きく変わるため、新規端末と同様に再度通信事業者の仕様を満たしているかどうかのテストを通す必要があり、そのコストをどうやって回収するのか(対象となる端末の大半はすでに売られたものである)などの問題が残っている。会場では来月にでもサムスン「GALAXY S」の2.3へのアップグレードが行われるとウワサされていたが、具体的にどこの携帯事業者が対応するかは内部事情による。
サムスンはGALAXY Sから3G携帯電話ネットワーク用の機能を外し、ネットワーク接続を無線LANとした「GALAXY S WiFi」を発表した。今年1月に発表した「GALAXY Player」とは似たような構成ながら、こちらを扱うのは携帯電話の事業部らしい。こうした製品だと、携帯事業者とは関係なく販売が可能となる。メーカー側もAndroidを使うビジネスにおいて、いろいろな形を模索しているようだ。
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