今年の「Mobile Wireless Congress 2011」(MWC)で大きな存在感を持っていたのはグーグルであり、Androidだった。昨年からは完全にスマートフォンが今後のトレンドと見られていたが、結局どのメーカーもAndroidに“乗る”ことになった。そういうわけで、会場内のあちこちにAndroidスマートフォンがあり、スマートフォンの新製品の大半がAndroidだった。
Android一色となった今年のMWC
市場シェア的にはiPhoneも大きなものがあるが、iPhoneをリリースするのはアップルのみ。そしてアップルはMWCには参加していない。もちろんBlackBerryやWindows Phone 7もあるが、BlackBerryはResearch In Motion(RIM)社のみの製品であり、MWCには参加していてもあくまで1社でしかない。
また、Windows Phone 7端末をリリースするメーカーの大半は、Androidも手がけており、各社のブースもAndroid端末が中心となっていた。マイクロソフト自信も今年のMWCでは、ノキアとの提携以外に大きな話題を作ることができなかった。
今回はグーグル自身もブースというよりもコーナーとでも呼ぶべき巨大スペースを確保し、展示を行なった。展示の大半を占めたのはAndoridの有力デベロッパーだ。もちろんグーグルによる展示スペースもあったほか、大きなスムージースタンドを作って、“Cupcake”や“Gingerbread”といったAndroidの開発コード名にちなんだ名前のスムージーを無料配布していた。
会場内でAndroidを展示するブースには、Androidのピン(1本の針で止めるバッチ)が配布されていた。これが85種類もあったため、会場内ではちょっとしたピン・コレクションブームが発生。最終日には、あちこちでピンの交換を行なう人々を見かけた。そんなこんなで、今回のMWCは「Android一色」と言ってもいいほどにグーグルの存在感があったわけだ。
業界のカンファレンスに慣れていない感じ?
しかし、実はグーグルがこのようなイベントに参加することはあまり多くない。CESにも数年前(Androidを始める前のことだ)に1回だけ出展しただけだ。自身のイベントは開催しても、他のイベントにはほとんど出展しない。そんなGoogleが出展するのだから、今年のMWCは「Google、EU圏に上陸」的な感じがあった。
今回はグーグルのエリック・シュミット氏が基調講演に登場したのだが、写真撮影に制限をつけ、時間は最初の2分間だけ。しかも会場後方からのみだった。講演内容にもほとんど最新情報が含まれず、次のAndroidのコードネームは“I”で始まるといわれても、これまでの例からもすでに予測可能な範囲のことだろう。さらにはプレゼンテーションスライドもなく、講演として評価できるような内容ではなかった。
もっとも原稿を見ながら話しても棒読みにならず声に表情が出るのはさすがといったところ。棒読みで日本語式発音のスピーチに加え、パネルディスカッションでは通訳のつき日本の経営者よりマシである。なお、講演内ではAndroid 3.0に搭載予定のビデオ編集ソフトウェア「Movie Studio」のデモが行なわれたが、iPhone 4の発表時に「iMovie」を公開したアップルへの対抗心が見えた感じだ。
この連載の記事
-
第12回
スマホ
Nokia最高開発責任者、Microsoftとの提携について説明 -
第11回
スマホ
ソニエリのミッションは「ソニーとAndroidの世界を結ぶこと」 -
第10回
スマホ
Samsungに戦略を聞く Nokia越えではなくブランド確立へ -
第9回
スマホ
HTC、スタイラス付きタブレットやFacebookフォンなどを展示 -
第7回
スマホ
携帯電話業界でのインテルの“存在感” -
第6回
スマホ
デュアルからクアッドへ 急速に成長するARMプロセッサ -
第5回
スマホ
日本にも来るか? LGが3Dスマホとハニカムタブレット -
第4回
スマホ
Nokiaに「失望」 Intel幹部がモバイルの取り組みを更新 -
第3回
スマホ
MSバルマーCEO基調講演 Nokiaとの協力でWP7にさらに注力 -
第2回
スマホ
GALAXYも次世代に! 「GALAXY S II」「GALAXY Tab 10.1」 - この連載の一覧へ