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あなたの知らないWindows 第43回

GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編

2011年01月06日 12時00分更新

文● 山本雅史

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USBに関する注意点
Bluetoothマウスも正常に動作

 XenClientでは、仮想環境上でUSBをサポートしている。例えば仮想OSでUSBメモリーを挿すと、自動的に認識してドライブとして利用できる。

 ただし、ひとつのUSBメモリーを複数の仮想OSで共有することはできない。例えば、Windows 7で認識したUSBメモリーを挿したまま、Windows XPに切り替えても、Windows XP側ではUSBメモリーを認識しないのだ。Windows XPでUSBメモリーを使用したい場合は、一度Windows 7側でUSBメモリーを取り外す処理をして、Windows XP側で認識させる必要がある。

 USBメモリー以外に、いくつかのデバイスを試してみた。まずUSB端子にBluetoothレシーバーを接続してマウスを使用してみたが、問題なく表示中の仮想OSで利用できた。マウスやキーボードに関しては、XenClientの専用ドライバーによって、仮想OSで利用できるようになっている。またUSB-HDDに関しては、USBメモリーと同じような使い勝手になった。

仮想OSでGPUを利用する

 XenClientの最大の特徴は、インテルCPUが持つI/Oパススルー機能「VT-d」を利用して、仮想OSからGPUが利用できることだ。ただし、単にXenClientにOSをインストールしただけでは、XenClient専用の仮想グラフィックドライバーがインストールされるため、GPUの機能を直接利用できない。いくつかの設定が必要になる。

 まずXenClientの管理コンソールで、GPUを利用したい仮想OSを選択する。この時には、「View」を詳細表示モードにしておく。そして詳細表示モードの「Experimental」タブを選択して、「3D Graphics Support」を「Enabled」にする。

仮想OSの詳細表示モードにする

管理コンソールで、仮想OSの詳細表示モードにする

「3D Graphics Support」を「Enable」に

Experimentタブから、「3D Graphics Support」を「Enable」にする

 すると、仮想OS上でGPUが認識されて、GPUに対応したドライバーが改めてインストールされる。再起動すれば、ディスプレーアダプターとして「Intel HD Graphics」がインストールされている。

CPU内蔵GPUの「Intel HD Graphics」が認識された

CPU内蔵GPUの「Intel HD Graphics」が認識されて、ドライバーがインストールされた状態

 仮想OSからGPUが利用できるようになったことで、Internet Explorer 9(IE9)のようにアプリケーションからGPUを利用できるようになる。もちろん、DirectXを使うゲームソフトなども動かすことが可能だ(あくまでIntel HD Graphicsで動く程度の話だが)。

IE9でベンチマークを動かしてみた

IE9でベンチマークを動かしてみた。仮想OSでもパススルーでGPUが利用できるため、通常の環境と同じ性能を実現している

「Fish Tank」で1000匹の魚を表示しても18FPS

同じくIE9のベンチマーク「Fish Tank」で1000匹の魚を表示しても、18FPSを表示できている

 ただし、現在XenClient 1.0でサポートしているGPUは、第1世代Core iシリーズ内蔵の「Intel HD Graphics」と、Intel 4~5シリーズチップセット内蔵の「Intel GMA 4500」の2種類しかない。そのため、ゲームなどでは高い性能は出ない。

 シトリックスでは、XenClientの次バージョンでNVIDIA GPUのサポートを検討しているようだ。ただしその場合でも、すべてのNVIDIA GPUというわけにはいかず、一部のサポートに止まるだろう。

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