Atom搭載の高性能シンクライアント「HP t5745 Thin Client」

2010年12月20日 09時00分更新

文● 石井英男

パフォーマンスが高く、ストリーミング動画再生も可能

　t5745は、パフォーマンスが高いため、従来のシンクライアントでは難しかった動画の再生も可能である。

サーバー上のVMwareによる仮想デスクトップに接続しているところ

Windows 7の仮想デスクトップも快適に動作する

　これは、Citrix HDXテクノロジと呼ばれるもので、動画データをストリーミングでシンクライアントに送信し、シンクライアント側で動画のデコードと表示するという技術だ。

Citrix HDXテクノロジを利用することで、動画も滑らかに再生できる

　従来は、ホスト側で動画の画像を1枚1枚圧縮してネットワークに送り、それをシンクライアント側で解凍して表示していたのだが、こうした方法では動画の滑らかな再生はできない。

　今までのシンクライアントは画面転送だけしてればよいという考えだったが、こうした動画のストリーミング転送に対応するには、シンクライアントといえども、ある程度のパフォーマンスが必要になるのだ。

　t5745は、こうした要求にも余裕で応えられる新時代のシンクライアントといえるだろう。

　また、電源を入れると自動的にあらかじめ指定した接続先に接続される、Citrixデスクトップアライアンスモード(CDAモード)も搭載。

究極的なセキュアな環境を作れるCitrixデスクトップアプライアンスモード(CDAモード)も搭載

　CDAモードでは、それ以外の操作はできないので、究極にセキュアな環境を実現できる。

CDAモードでは、電源を入れると自動的にあらかじめ指定した接続先に接続され、他の作業はできないので、セキュリティは安心だ

　さらに、ネットワーク越しにシンクライアントをリモートコントロールするVNCシャドウイングやFirefox 3.0ベースのウェブブラウザー「Iceweasel」も搭載している。

ネットワーク越しにシンクライアントをリモートコントロールするVNCシャドウイングもサポートしている

Firefox 3.0ベースのウェブブラウザー「Iceweasel」も搭載している

　また、Synapticパッケージマネージャも搭載しているので、モジュール単位できめ細かいアップデートも可能だが、シンクライアントとしての使い方なら、通常はここまで踏み込む必要はないだろう。

Synapticパッケージマネージャも搭載しており、モジュール単位できめ細かいアップデートも可能だ

　これまで紹介してきたように、t5745は、ハードウェア、ソフトウェアともに完成度の高いシンクライアントであり、管理も容易なので、TCOを大きく下げることができる。

　価格は3万7800円（税込）であり、安価でコストパフォーマンスも優秀と言える。スタンドアロンで動作するPCがいいか、シンクライアントとサーバーの組み合わせが適しているかは、業務や規模によっても異なるが、シンクライアントの導入を検討しているのなら、t5745は有力な選択肢となるだろう。

今回試用した「HP t5745 Thin Client」の主なスペック
CPU	Atom N280（1.66GHz）
メモリー	1GB
グラフィックス	インテル GL40
ストレージ	1GB（フラッシュメモリ）
ネットワーク	Gigabit Ethernet
インターフェース	USB 2.0×8、アナログRGB出力、DisplayPortほか
サイズ	幅44×奥行き222×高さ255mm
重量	約1.58kg
OS	HP ThinPro
価格	3万6000円