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いま旬のビジネスPC 第25回

Linuxベースの独自OS「HP ThinPro」を採用

Atom搭載の高性能シンクライアント「HP t5745 Thin Client」

2010年12月20日 09時00分更新

文● 石井英男

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独自OS搭載でセキュアな環境を実現

 シンクライアントは、搭載OSによって「Linuxベースの製品」と「Windows Embeddedベースの製品」の2種類に大別できる。

 t5745の姉妹機であるt5740は、ハードウェアはほぼt5745と同等だが、OSとしてWindows Embedded Standardを搭載している。

 LinuxとWindows Embeddedにはそれぞれ長所と短所があり、サーバー側の環境や用途に応じて選択するのがベストだが、Linuxベースのシンクライアントは、Windows Embeddedベースのシンクライアントに比べて、セキュリティホールが少なく、クラッカーからも狙われにくいため、月次アップデートなどが不要だというメリットがある。

 t5745に搭載されているHP ThinProは、LinuxをベースにHPがシンクライアント専用OSとして独自開発したものなので、攻撃されることが少なく、さらにセキュアな環境を実現する。

 RDesktop 1.6やICA 11といった主要な接続プロトコルに対応しているほか、XDMCPをサポートしており、X Windowベースのシステムにも接続できる。

 さらに、端末エミュレーターのTeemTalkもサポートし、メインフレームへの接続も可能だ。

 HP ThinProの主な特徴として

  • 直感的なインターフェース
  • メンテナンスフリー
  • 導入が容易な管理ツール

が挙げられる。HP ThinProは、シンクライアント専用に開発されたOSなので、ユーザーインターフェースが分かりやすい。

 専用端末化するKioskモードも備えている。メンテナンスフリーについては、前述したとおり、独自OSなのでWindowsのような頻繁なセキュリティアップデートが不要だ。

 また、HP Automatic Updateと呼ばれるアップデート管理ツールを備えており、FTPサーバーやDHCPサーバーといったネットワークでは当たり前のインフラを利用して、クライアントの一括アップデートや設定の配信などが可能であり、管理に関するコストや手間を大きく削減できる。

管理者モードとユーザーモードの2つのモードを備える

 HP ThinProでは、管理者モードとユーザーモードの2つのモードが用意されており、それぞれ利用できる機能が異なる。

 ユーザーモードで利用できる機能を管理者モードで自由に設定できることも特徴だ。

 Windowsベースのシンクライアントでは、ユーザーに開放する機能を変更するには、レジストリやグループポリシーなどを修正する必要があり、面倒な作業だが、ThinProなら、「ThinProの構成」を選ぶことで、GUIベースでユーザーモードで利用できる機能を自由に設定できる。

 ウィザード形式で簡単に設定が可能な「Easy Tools」を搭載していることも魅力だ。現在は英語表記だが、画面の指示に従っていくだけで、必要な設定をすべてできる。

 また、バックアップ/リカバリツールの「ThinState」を使えば、クライアントのシステムイメージをUSBメモリーやFTPサーバーにまとめてバックアップし、リカバリも可能なので便利だ。

ユーザーモードのポータル画面。起動すると最初にこの画面になる。接続先のサーバーを選んで、接続をクリックするだけで、接続が行なわれる

ユーザーモードのコントロールパネル画面。主要な設定はここから行なえる

ユーザーモードのシステム情報画面。OSのバージョンやストレージとメモリーの使用状況などが分かる

接続メニューで、「追加」をクリックし、プロトコルを選べばサーバーを追加できる

管理者モードの接続メニュー画面。管理者モードでは、バックの色が変わり、ドライバーの絵のアイコン「Easy Tools」が追加されている

管理者モードではコントロールパネルで設定できる項目がユーザーモードに比べて格段に増えており、タブで分類されている。この画面は、周辺機器タブを開いたところ

管理者モードのコントロールパネルでセットアップタブを開いたところ。セキュリティやネットワーク接続設定などが可能

管理者モードのコントロールパネルで管理タブを開いたところ。自動アップデートやVNCシャドウイングなどの設定が可能

管理者モードのコントロールパネルにある「ThinProの構成」では、ユーザーモードのコントロールパネルで利用できる機能の設定も可能

管理者モードのコントロールパネルにあるドライバーのアイコンをクリックすると、Easy Toolsが起動する

Easy Toolsは、ウィザード形式のアップデートツールEasy Updateと、ウィザード形式の設定ツールEasy Configから構成される。表記は英語だが、日本語ローカライズも検討中とのこと

Easy Configでは、ウィザードに答えていくだけで、設定が完了する

バックアップ/リカバリツールの「ThinState」が付属。USBメモリーやFTPサーバーにシステムイメージをバックアップできる

(次ページ、パフォーマンスが高く、ストリーミング動画再生も可能)


 

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