音作りの中に曲作りのプロセスがある感覚
―― ではSQ-10を入れることにしたのは、なぜですか?
佐藤 僕が福田くんに「ピアノロールのタッチ操作って何かしっくりこないよね」って話をしたら、さっきのSQ-10のマニュアルを持ってきて、「いいもの見つけましたよ」って。
福田 それでコンセプトは決まりましたよね。それから実物のSQ-10とMS-20をチェックし始めたんですが、やっぱりこの感覚は今使ってみても、すごく新しい。普通の(DAWのシーケンサーによくある)ピアノロール画面とシンセサイザーって、演奏と音作りが分かれている感じがするんですけど、アナログシーケンサーは音作りの中に曲作りのプロセスがある。この感覚がもう一度ほしいと思ったんです。
―― iMS-20の音源部分はレガシーコレクションとどう違うんですか?
福田 (プログラミングの)コードはそのままですね、最適化したくらいです。ただ、今回はオリジナルの仕様に忠実にということで。
―― でも、オリジナルのMS-20と比べて、若干の小変更はありますよね。
福田 数個所だけですね。
中島 オリジナルにはなかったものとしては(シーケンサーの速度にLFOの周期を合わせる)「テンポシンク」と、(同じくノートオンとLFOの周期を合わせる)「キーシンク」ですね。この辺はシーケンサーと合わせた際の曲作り、音作りに便利なものとして足しています。
福田 あとは面白いからやっちゃったこととして、パッチングの1つのアウトプットから複数のインプットに分配出力ができるんですよね。
―― パラアウトってことですか?
福田 そうなんですよ。「バナナ」って呼んでるんですけど、インからアウトにつないでいくと、こんな感じになります。
―― げげっ。こんなパッチング、現実には不可能ですよね。
福田 OASYSのLAC-1という拡張音源にこの機能があって、それをiMS-20に持ってきました。
―― 外すときは一発で全部のパッチが外れますね。
福田 ええ。劇的な音の変化を作る時に使えると思います。