編集者から華麗なる転身
2000年に慶應版「Facebook」立ち上げた文系女子
2010年11月03日 09時00分更新
仕事としてのサービスの「成功」を探っている最中
── ユーザーローカルでは「うごくひと2」や「ユーザーインサイト」などを開発されていますが、これらは理想どおりに携われたんですか。
閑歳 そうですね。ディレクションとエンジニア、あとデザインといいますかユーザーインターフェイスまで自分でやらせてもらいました。基本的に外注に出すことはなくて、(社長の)伊藤にアドバイスをもらいながら全部やるという感じです。伊藤も「なかのひと」など、自分で企画したものは1人で作っています。
── では、持ち続けていた「やりたいこと」が実現できているわけですね。
閑歳 でも、いざやらせてもらってみて、どうすることが正解なのかいまだに分からないことが多いんです。どうすれば成功になるのか、何が正解なのか。
ウェブサービスとしてひとつの指標になるのは、トラフィック量とアクティブユーザーですが、企業体でやっているので、やはりお金が儲かる仕組みになっていないといけません。ユーザーを絞って有料にするか、無料にして広告やサービス提供の形で収益を得るか、など色々な道があると思いますが、どれが最善なのか……。本当に難しいですね。
── 答えが出にくい問題ですよね。ちなみに、サービスを開発するときは、成功すると思われる仮説をもとにレールを敷いたりするんですか?
閑歳 まちまちですね。たとえば、「うごくひと」の場合は「ケータイのアクセス解析サービスの決定版を作れ」というミッションが最初にあったんです。昔からそういうサービスはいくつかありましたが、業界標準とまでいえるほどシェアを独占したものはありませんでした。そのなかで定番化できれば、ビジネス的な価値が高くなって、そこから色々な展開ができると思います。
ただ、実際には明確なシナリオは描けていないですね。有料の新機能を追加してユーザーに課金してもらうとか、別の形でお金が発生するように持ちかけるとか……。まだまだ検討中です。
── それでも、「うごくひと2」は多くの人に知られるサービスになっていると思います。
閑歳 いえ、もうつまづきまくりですよ(笑)。勝率的にいえば、商業ベースでみると全然勝っていないと思います。ある程度の反響をいただけるという段階でみれば、半々くらいいっているかもしれませんね。
いっぱい出せばいいというのでももちろんないですし、難しいですよね。極端な話、100個のサービスがボツになっても、1つだけ安定した収益性のあるサービスがあれば成功といえますし。ウチは最初から無料サービスをいっぱい出しちゃったので、その辺は上手く整理しないといけないなと考えています。
── では、ユーザーローカルの閑歳さんとしての目標は、収益の上がるサービスを開発することでしょうか?
閑歳 そうですね。もっと収益の上がるものを作れたらいいなと。もっと収益を上げつつ、 自分がまったく知らない人に深く影響を与えるようなものが作れると嬉しいですね。例えば自分が作ったサービスがきっかけで結婚する人が出たら、本当に本望です。でも、たぶんその根底にあるのは、経営的な目線ではなくて、作り手の目線でということではあると思います。
複数の視点から「成功」を突き詰める姿勢
閑歳氏は大学時代に素の自分を解放し、そこで得た「SFC★MODE」という成功体験を胸に、自分の好きなことを追求していった。
一見遠回りに見える就職先も現在につながる糧にしており、そこで得た経験と視点を武器に、現在も「やりたいこと」の上にある目標に向かって進んでいる。
閑歳氏は自身の性格を「飽きっぽくて変化が好き」と分析した。
しかし、目指す場所は小学生の頃に出会った草の根チャットの頃から揺らいでいないように思える。今後も様々な変化を武器に変えて、成功に至るサービスを提供してくれることを期待したい。
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