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ネットに生きる現代の匠“CTO・エンジニア”に聞く 第7回

選手名鑑片手にサーバの負荷分散を徹底する、モブキャスト・北田幸弘氏

疲れないゲーム「モバプロ」を支えるプログラマー

2011年08月31日 09時00分更新

文● 古田雄介

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 秋に向けて優勝争いが過熱しているプロ野球だが、今年はリアルのペナントレースとは別に、ネットの世界で熱気を帯びたサービスも話題を呼んでいる。モブキャストがケータイ向けに提供しているWEBゲーム「モバプロ」(関連サイト)がそれだ。2010年12月にベータ版サービスをスタートし、2011年8月17日時点で会員数が86万人に達するなど、急成長を遂げている。

大ヒットWEBゲーム「モバプロ」を手がける、モブキャストのディベロップメント・サービス部 部長の和智 信治氏(右)と同プログラマーの北田 幸弘氏(左)

 モバプロはケータイゲームのポータルサイト「ゲムッパ!」から配信されている野球ゲームで、参加者は一人ひとりがプロ野球チームのオーナーとなり、手持ちの選手や監督を使って他のユーザーとのリーグ戦を勝ち抜いていくのが基本の流れとなる。

 対戦自体は月曜日から土曜日の定時に自動で実施され、1週間で1シーズンを消化。その順位からチームの昇格や降格などが決まる。

 ユーザーは平日に自分のチームの勝敗をチェックして一喜一憂し、日曜日は来期シーズンに向けた作戦を立てながら、選手の補強などの試行錯誤を繰り返していくことになる。

モバプロ。2011年4月にスマートフォンにも対応した

ユーザーは選手と監督に加え、チームの守備位置や打順を決める「チームオーダー」も入手する必要がある。この3種類が揃うと初めて自分のチームが機能するようになる

 日本野球機構の承認と日本プロ野球OBクラブの公認を受けており、実際にプロ野球で活躍している人物や往年の名選手を自チームのメンバーとして使えるのが大きな魅力となっている。また、選手の獲得に必要なポイントが遊びながら自然に貯まっていくため、課金ゼロのまま遊び続けられるのも特徴だ。

 有力な選手を高確率で入手したり、監督などを指定したりできる「コイン」を購入する手もあるが、必ずしも有料ユーザーが強いチームを作るとは限らないところにゲームの妙味がある。

 このヒット作の快適なプレイ環境を支えているのが、モブキャストでプログラマーを勤める北田幸弘氏だ。

 「ネットに生きる現代の匠"CTO・エンジニア"に聞く」第7回は、モバプロが見せるゲームの新たな可能性と、それを支える北田氏の実情を探ってみたい。

最初は最下位リーグの「マイナーAリーグ」からスタートする。毎週(毎シーズン)好成績を収めていけば、最上位の「メジャー1」に所属して、より高度な勝負が楽しめるようになる


ユーザーと密接な関係が築けるソーシャルゲームを極めたかった

── 北田さんがモブキャストに転職された経緯を教えてください。

北田氏。京都産業大学情報通信工学科を卒業。大手ゲームメーカーを経て、前職ではソーシャルゲームの制作も行っていた。「子供の頃から思い描いていた、ゲーム漬けの人生を歩んでいます」と笑う

北田 ソーシャルゲームに興味があったんですよね。ソーシャルゲームは、ユーザーから色々な感想が届いて、すぐそれに応えていくような、すごい密接な関係を作りながらゲームを提供していく感があります。何か改善するときも、「ここを直したらこんなふうに喜んでもらえる」みたいなことをかなり具体的に考えられるのが楽しいんですよね。

 それにここ数年すごい勢いがあるジャンルなので、自分の中で突き詰めてやってみたいと考えていたところに、弊社の石井取締役という……以前勤めていたゲームメーカーの同期に相談したら誘われて、といった流れでしたね。石井以外にも過去に一緒に仕事したメンバーが数人いて、彼らの仕事ぶりを知っていたので、色々と楽しいことができるんじゃないかという予感もありました。

── 時期はモバプロが立ち上がる頃になりますか?

北田 いえ、今年3月から働かせてもらっています。入社時にすでにフィーチャーフォン向けのサービスが始まっていて、スマートフォン向けもまもなく公開という時期でした。それで一応モバプロの技術責任者ということで、制作者から急ピッチで引き継いで、勉強しながらアプリの開発をしていった感じですね。

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