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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第115回

必要なのは「オール光化」ではなく「オールIP化」だ

2010年04月28日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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ソフトバンクの不可解な「光の道」計画

 先週はソフトバンクの孫正義社長によって電波開放の動きが始まったことを高く評価したが、20日に発表されたソフトバンクの「光の道」計画はいただけない。全国民にブロードバンドを普及させようという目的はわかるが、「山間部や離島にも光100%」という手段には疑問がある。

ソフトバンクの資料より

 ソフトバンクによれば現在のNTTでは銅線の維持費が毎年3900億円かかっているので、これを「アクセス回線会社」に分離して、全世帯を光ファイバーに替えると維持費が下がるという。10年で3.9兆円の維持費より100%光化する工事費2.5兆円のほうが安いので、銅線の維持費を振り替えるだけで工事費はすべてまかなえるという。

 しかし町田徹氏も指摘するように、これは計算違いである。ソフトバンクは100%光化を5年で完了するというのだから、維持費は5年×3900億円=1.95兆円しか節約できず、光化の工事費は5000億円以上足りない。さらにこの2.5兆円は工事費だけで、光ファイバー網の維持費が含まれていない。町田氏はこう批判する:

メタル回線にしろ、光ファイバー網にしろ、維持コストの中で大きな位置を占めているのは、補修要員の人件費だ。これを減らさないと、メタル回線にしろ、光ファイバー網にしろ、維持費の抜本的な削減などできない。雇用確保が目的なら維持費は削減できないのである。

 NTTの保守要員は、NTT-MEに委託しているだけでも約2万人。連結で約20万人もいる社員のうち、技術要員の多くは電話交換機にかかわる要員で高齢化している。NTTの最大の「不良資産」はこの余剰人員なのだ。1970年代に大量採用した彼らが退職すると、電話網(PSTN)の保守もできなくなり、部品の調達もままならない。NTTのファミリー企業でさえ「電話網の部品を作るのはもう無理だ」と泣きついたのが、NGNの最大の動機である。

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