使いやすくなった操作系
SシリーズはEVFも搭載しており、こちらは0.2型約20万ドットの解像度のものである。マニュアルフォーカス時、モニター中心部分に拡大画像が現れるものの、ピントの確認ができるほどの解像度はない。
このEVFの横にはアイセンサーが備わっており、目を近づけると反応して自動的に背面液晶からEVFへと画像表示を切り替えてくれる。メガネを使用している筆者でも切り替えがスムーズであった。
反面、日中の撮影時、背面液晶の再生画像を見やすくしようと液晶の上部を手でさえぎって影を作ろうとしたときなどもセンサーが反応してしまい、背面液晶からEVFへと切り替わってしまうことがあった。ややセンサーの反応が過敏なのかもしれない。
液晶モニターの外側にはISO感度設定やホワイトバランス設定などへのダイレクトファンクションボタンが備わっている。従来のSシリーズではボディのあちこちに点在していたものがHS10では集約されたようだ。
コマンドダイヤルとモードダイヤルなどがあるボディ上面のグリップ側は少し傾斜しており、撮影中の視点移動が少なくなったせいか見やすく感じた。さらにどちらのダイヤルに対しても親指のかかり方がダイヤルの側面だけでなく、上面までがっちりと押さえられるようになったので、切り替え操作もしやすいと感じた。
意外と軽く動く30倍ズームレンズ
搭載されている光学30倍ズームレンズはマニュアル式のもの。ズームリングを約1/3回転させることで広角端から望遠端までをカバーする。高倍率ズームなのでレンズ構成の移動も大きく、重い操作感なのではと予想していたが、意外に軽くてスムーズ。いい意味で裏切られた。この程度の軽さであれば素早い画角変更もできていいだろう。
このくらいの高倍率ズームレンズだと、普通はレンズが勝手に伸びるのを防ぐためにロック機構などを装備するのだが、レンズ自体の重さがさほどないためか、レンズを下に向けたまま持ち歩いていてもズームレンズが伸びるようなことはなかった。
広角側24mm(35mmフィルム換算)というのはSシリーズのみならず、富士フイルムの現デジカメラインナップ中でも最も広い画角となる。望遠側720mm(35mmフィルム換算)も同様である。この広い画角の変化はかなり写真表現の幅を広げてくれるだろう。
ここまで望遠側が伸びたせいでもないだろうが、CMOSシフト方式に加えてマルチフレーム技術を用いた方式で手ブレを防ぐことも可能となった。マルチフレーム技術とは複数枚の画像を合成して1枚の画像を生成するものだが、これにより従来の縦回転、横回転の動きだけでなく、垂直、水平、光軸回転の動きに対する手ブレ補正が可能となった。