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角川会長が語る「クラウド時代と<クール革命>」(後編)

2010年03月12日 12時30分更新

文● 津田大介/ジャーナリスト 撮影●三井 公一(サスラウ)

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みんなの声が漏れてくるのがTwitterの強さ

角川 僕はね、最近、いい経験を2つしたんです。ひとつは本を無料公開したこと。もうひとつが、2日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催した「ロスト・シンボル」のカウントダウンイベントですね(関連記事)。


── TwitterとUstreamで実況中継したんですよね。

角川 入場料が3780円だったんだけど、これは「ロスト・シンボル」上下巻ぶんの値段なんだよね。でもイベント参加費なの。

 20時半から「天使と悪魔」の映画を上映して、23時から翻訳者の越前敏弥さんとまつゆう*さん、うちの社員が3人でパネルディスカッションをして、その様子をUstream、Twitterで中継した。さらに10秒前になるとカウントダウンを始めて、3日の午前0時を迎えると「今日この本は発売です、お持ち帰り下さい」という風に終わったんです。

 これはね、TOHOシネマズの村上さん(社長の村上主税氏)と、ソニー・ピクチャーズの佐野さん(映画部門日本代表の佐野哲章氏)と3人で何かやりましょうと言ったものが現場に下りていって、みんなで考えたんだ。面白いイベントになったと思うんですよ。

Image from Amazon.co.jp
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

 本の発売のキャンペーンに映画館を使って、それがネットにもつながった。映画館の大きなスクリーンにTwitterのつぶやきがリアルタイムに映し出されていく様を見て、「本当にあなたの本(Twitter社会論)の通りだな」って思ったよ。目の前で人々の思考が映し出される光景は「リアルタイム」以外の何者でもなかったね。

 考えてごらん。司会者に「質問ありませんか?」と聞かれて答えるのは「わざわざ」なんだよね。手を挙げる勇気ってあるじゃない。あと発言ばかりしたがる人もいるよね。でも本当は、この本について感じたことがあっても、みんなが手を挙げてるから言えないで悔しい思いをしてる人がいっぱいいるんだよ。


── それがTwitterから漏れてくるわけですよね。

角川 これはフェアだなぁと。これはつくづくTwitterの強さだと思った。もう1つ言いたいのは、260人の参加者が非常にクレバーな顔をしてる感じがしたね。

 260人のうち、失礼な言い方になるといけないけれども、130人はダン・ブラウンのファンなんだよね。残りの130人はTwitterのイベントに参加したという人なの。でもその人たちはね、初めてダン・ブラウンと接しているんだと思うんだよね。

 Twitterに参加するってことは楽しいじゃない。でもそういう人はね、間違いなく文庫の「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでるんだよね。だってそうしないとTwitterに書けないもの。だからね、読者の拡大を図ってるよね。これがホントだと思った。

 第一次利用、第二次利用、第三次利用という拡散。限られた映画館のハコの中で、第二次利用は全国で1万何千という人がDVDで買う。第三次利用の人はもっと広く何百万・何千万という人が接する。そういう交流が始まると思うんですよ。これから。

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