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角川グループ、2月上旬にもYouTube内で動画配信を開始

2008年01月25日 13時02分更新

文● 編集部

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 角川グループが2月上旬をメドに、グーグルの提供する動画共有サイト「YouTube」内で公式コンテンツを提供することが、25日発表された。同社では、YouTubeの提供元である米グーグル社と昨年から、動画識別技術の実証実験を行なってきたが、それが一定の成果を得たことを受けたもの。

発表風景

左から順に角川デジックスの福田 正氏、米グーグル社コンテント担当副社長のデービッド・ユン氏、角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏、グーグル日本法人の代表取締役社長の村上憲郎氏

 同社では、YouTubeのコンテンツパートナーとして角川グループの公式ページを開設。合わせて動画上に半透明のアイコンを表示し、クリックすると動画広告が表示されるビデオ内広告の国内での利用も開始する。また、グーグルと共同で行なうYouTube上でのクリエイター発掘キャンペーンなどを展開していく。

公開イメージ。右の写真のようにレクタングル広告の埋め込みなども検討している。引用されている涼宮ハルヒの憂鬱やらき☆すたといったコンテンツも権利者の許諾が取れ次第、順次公開していく方針だという

 発表会場で(株)角川デジックス 代表取締役社長の福田正氏は、コンテンツはPR用のショートクリップだけではなく、(アニメ1本分などの)「フル画像もアドを入れて楽しめるよう著作権者と話し合いながら、できるだけ早く対応する」とコメント。2月上旬には何らかの形でコンテンツをアップしたいと、早急に「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」など自社の持つアニメコンテンツの提供も開始していく方針であることを示した。

動画埋め込み広告

動画埋め込み広告の例。半透明のアイコンをクリックすると広告動画が表示される。広告はユーザーが終了させることができ、その際にはいままで見ていた動画の途中から再生が始まる

プロモーションのアイデア。著作権者に収益を分配することで、ダークなイメージの付きまとう動画配信のあり方を変え、新しいコンテンツ流通のあり方やコミュニティーの考え方を作って生きたいというのが角川グループの姿勢だ



日米の著作権法の違いで大きな誤解があった


 角川グループホールディングスの代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏は、会見の冒頭でYouTubeに関して「日米の著作権法の違いで大きな誤解を生み、残念に思っていた」と述べた。一方で「YouTubeはコンテンツの世界共通語、日本初コンテンツが世界に広まることに大きく貢献している」とも語り、画像認識技術を利用して、YouTube上で合法的なコンテンツを流通させていくことで、日本のコンテンツを世界に向けて配信していく意欲を示した。

 違法動画投稿を抑止するための技術とは、権利者がリファレンス動画と呼ばれる正動画をYouTube側にあらかじめ提供しておき、それと同一と見られる類似性の高い動画がユーザーから投稿された際に、ユーザーに対して警告を、コンテンツ事業者に対して通報を行なう仕組みとなっている。コンテンツ事業者は通報を受けた時点で、動画を確認し「削除する」「そのまま残す」「動画に広告を付けた上で残す」の3つの選択を行なうことが可能。権利者の許諾を得ているコンテンツを区別するために、コンテンツ事業者のロゴなど「認証済み」の動画であることを示すしるしも付けられる。

 グーグルの提供する画像認識技術は現状ではまだβ版という位置付けで、改善の余地はあるが「初期の結果としてはうまく言っていると思う」と米グーグル社のコンテント担当副社長 デービッド・ユン氏は話す。角川デジックスの福田氏も「リファレンスとなる正規動画を提供していれば、違法動画はほとんど掲載されない。おおむね90%くらいの高いレベルでコントロールできる」と感想を述べた。

 発表会で福田氏は「以前はYouTubeによって、自分もコンテンツがタダで見られている、権利を侵害されているから使わないほうがいいと思っていた」とコメント。しかし、こういった技術の進歩によって、「違法技術の扱いをコンテンツ事業者がコントロールできるようになり、対価が支払われる。そういうことなら角川グループもユーザーのため、著作権者のため使っていけるのではないか」とYouTubeを利用したビジネスへの期待を述べた。同氏は、すでに無許諾で投稿されているコンテンツに関しても「十把一絡にダメなんだというスタンスではなく、対話の中で取り組んでいく」とした。

 YouTubeは、パソコンだけでなくすでに携帯電話機やテレビといったさまざまなデバイスでの再生にも対応している。今後パソコンサイトを核としながら、こういった機器を利用したクロスメディア展開の幅も広がっていくだろう。その先鞭を付ける存在となった角川グループ。その成功の可否は、国内の別のコンテンツ事業者の参入に対しても大きな影響を与えそうだ。

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