Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第8回
ライフボート「LB パーティションワークス13」
Windows 7発売に間に合ったパーティションソフトの真実
2010年02月23日 08時00分更新
Windows 7で新たに登場した
「隠れ先頭パーティション」とは?
―― Windows 7対応では、どんなところに苦労されたのでしょうか?
芳本 一番苦労した問題は、Windows 7から新たに、インストール時にパーティションを設定し直すと、先頭に100MBの小さなパーティションを作り、その後ろにもう1つパーティションを作って、ここにOS自身をインストールするという仕様になった点です(関連記事)。(Windows Vistaまで対応していた)従来のソフトウェアは、このようなパーティション構造を前提にしていなかったために、これに思わぬ時間がかかりました。従来は、1つパーティションにWindowsをインストールする仕様だったので、当社のソフトウェアもこれを前提に作られていたわけです。
また、一見正常に動作してるように見えて、この先頭パーティションを正しく認識できていない場合があり、それを見つけて解決するのも少し時間を要しました。この問題は、Windows 7対応の3つの製品すべてで発生しました。
この先頭パーティションの作成は、Windows 7のインストーラーが自動的に行なうのですが、ほとんどのメーカーのWindows 7プレインストールPCが、同様のパーティション構造になっていたため、これに対応しないとうまく動かなくなってしまいます。
また実際には、従来のパーティションをそのまま使う人もいれば、新規にHDDを追加・増設する人、メーカーの製品構成に、自作マシンなど、さまざまな状況を想定しなければなりません。
一般的なアプリケーションであれば、「Windows 7にインストールして動作させてみて、正しく動けばWindows 7対応」と言えるのですが、システム系ユーティリティーソフトでは、こうしたパーティション問題などもあって、抜本的に改良しなければならないケースがあります。実際、当社はWindows 7の発売日に間に合わせることができましたが、他社では、「Windows 7対応は2010年春」としているところもあります。当社もかなり苦労したのですが、他社でも同様に苦労しているようですね。
―― この3製品は、Windows Vistaにはすでに対応していたのですよね?
芳本 はい。ユーザーアカウント制御(UAC)などについては、すでにWindows Vistaで対応していたので、Windows 7特有の問題というのは、この先頭パーティションの問題だけでした。これがなければ、かなり速い段階で開発元も対応を済ませていたので、もっと早い時期に出荷もできたのですが、実際にはこの問題の解決のため、Windows 7の発売と同時になってしまいました。
―― それ以外にWindows 7対応の部分はあるのでしょうか?
阿子島 ソフトウェア自体の改良ではないんですが、最近はさまざまなユーザーさんがいらっしゃるので、このソフトウェアにはマニュアルよりも詳しい「解説本」を付けています。ソフトに付属するマニュアルは汎用的なもので、パーティション操作などの手順は書いてありますが、これをどう組み合わせたら希望通りになるか――たとえば、CドライブとDドライブの2つのパーティションをどうやってサイズ変更するのかという具体的な手順は、解説書で説明しています。
実際、こうした手順の説明では画面が1つが抜けているだけでも、(ユーザーが不安になって)問い合わせが来ることも少なくないのです。ですので、こうした解説書の添付は、Windows 7で新しいユーザーにアピールするためにも必須でした。
また、「特にWindows 7だから」ということではないのですが、CDブートには最新の組み込み用OS「Windows PE(Preinstallation Environment) Ver.2.1」を使っています。CDブート時にも、インストール時と同じ画面や操作性で作業できます。
Windows PE Ver.2.1には、従来よりも多くのデバイスドライバが含まれており、USB接続以外にもさまざまなデバイスから起動可能になりました。
―― ユーザーにはあまり見えない部分も進化しているわけですね。本日はありがとうございました。
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