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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第12回

テクニカルソフト「てきぱき家計簿マム7」

16代目の家計簿ソフトはPCと生活スタイルに合わせた進化

2010年03月29日 09時00分更新

文● 塩田紳二

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てきぱき家計簿マム7

てきぱき家計簿マム7

 四国への玄関口・岡山の地で、1986年から家計簿ソフトを手がけるテクニカルソフトを取材した。同社の家計簿ソフトをさかのぼれば、実にN88-BASIC時代に始まり、今年3月に発売された「てきぱき家計簿マム7」が16世代目を数える。

 ほぼ四半世紀に渡って家計簿を見つめ続けてきた同社でお話を伺ったのは、代表取締役社長の山田省三氏、開発室リーダーの尾崎定信氏、営業企画部の久保琢司氏と同じく山田健司氏の4人だ(以下敬称略)。

N88-BASIC時代から続く家計簿ソフトの老舗

―― 御社を訪ねるとき、建物の看板には「サンテク」とあり、屋内に入ってみると「サンワサプライ」の名前も目にします。御社との関係について教えてください。

代表取締役社長の山田省三氏

代表取締役社長の山田省三氏

山田社長 テクニカルソフトはソフトウェアの開発を行なう会社で、販売は関連会社であるサンテクが行なっています。テクニカルソフトは、サンテクの開発部門を独立させたものです。もともとは「三和興業」という会社を先代が興し、その中のPC販売部門がサンテク、サプライ部門がサンワサプライになりました。今では、「サンワグループ」という形で連携しています。

 テクニカルソフトは、主にコンシューマー向けソフトウェアを開発していて、主力製品が「てきぱき家計簿マム」です。ほかにも、ビジネス向けに「Web給与部長」、またSuicaなど非接触ICカードによる交通費精算ソフト「e-精算」などもあります。

 ソフトウェア以外に、最近では家計簿マムと連携するネットサービス「家計簿@マム」を展開しています。また、ソフトバンクモバイルの公式コンテンツとしても「家計簿@マム」を提供しています。ソフトウェアの開発は、もう30年以上になります。

てきぱき家計簿マム7のメイン画面

てきぱき家計簿マム7のメイン画面。PC的なメニューを極力見せず、入力しやすいインターフェースになっている

山田(健) 今回Windows 7に対応したのは、てきぱき家計簿マムになります。現在(取材時点の2010年1月)の最新版は「てきぱき家計簿マム6」ですが、その後継製品として「てきぱき家計簿マム7」を開発しています。Windows 7対応はマム6からになります。

―― この名前はかなり以前から聞きます。歴史のある製品ですよね。

テクニカルソフトの開発室および営業企画部のお三方

今回のインタビューにお答えいただいた、テクニカルソフトの開発室および営業企画部のお三方

尾崎 最初のバージョンは、N88-BASIC用で1986年にリリースしました。Windows対応は1994年の「てきぱき家計簿Windowsマム」からですが、今の原型になったのは1997年の「てきぱき家計簿マム2」になります。

―― Windows 7対応は「マム6」から、ということですが?

尾崎 正確に言うと、マム6はWindows Vista対応として発売した製品であり、当社で修正版(アップデートパッチ)を作り、Windows 7でもきちんと動作を確認したので、「Windows 7対応」としました。最初からWindows 7対応として開発したのは、マム7となります。

―― Windows Vistaに対応したのはどのバージョンからですか?

尾崎 「マム5」になります。実際はマム5の途中からで、マム5自体はWindows XP対応として開発しました。というのも、当時はマムシリーズをバンドルしたPCがいくつかあり、PC自体はWindows XPをプレインストールしていたのですが、その後にWindows Vistaの出荷が始まり、ユーザー自身によるOSアップグレードが可能になりました。そのため、バンドルソフトのマム5もWindows Vista対応の必要が出てきたのです。

 Windows Vistaでは動作が大きく変わっていて、Windows XP用に作ったマム5そのままでは、動作がおかしくなることがあったのです。そこで、バージョンアップを行なってWindows Vista対応としました。これが2008年のことで、当時マイクロソフトが実施していた「OEM Ready Program」にも対応しました。

 ここでWindows Vistaに対応したことが、あとのWindows 7対応を楽にしてくれました。次のマム6は、最初からWindows Vista対応として作ることになりました。

―― 具体的にはどこが問題だったのですか?

久保 まずWindows XPからWindows Vistaについては、インストーラーがUACとバージョン取得の関係で、まったく動きませんでした(関連記事1)。PCにバンドルする場合、自動でインストールできる必要があるので、修正する必要がありました。

 もうひとつは画面の座標系の問題でした。Windows XPまでは座標系に整数を使っていたのですが、Vistaからは実数になりました。その関係で座標計算――たとえばフォントのサイズなどを計算するときに違いが出て、表示画面がずれるといった問題が見つかりました。(座標系の違いに)気づくまでは苦労しましたが、結局プログラムを改修することで対応しました。

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