マーカーペン部分の自動キーワード抽出とクリッピングを実現
インテリジェント機能を持つようになった専用ソフトウェアを使ってみる。S1300はWindows環境に加え、Mac OSにも対応するようになったが(従来はMac用は別モデルだった)、今回はWindows Vistaでテストした。付属ソフトウェアをインストールすると、スキャナードライバーが組み込まれるとともに、デスクトップ上には「ScanSnap Organizer」と「名刺ファイリングOCR(ダウンロード版のソフト単体価格1万290円)」のアイコンが現れ、またタスクトレイ上には「ScanSnap Manager」が常駐する。
また、OCRソフトの「ABBYY FineReader for ScanSnap」や、コンテンツ連携用の「Scan to Microsoft SharePoint」も導入されるが、これら2つのソフトはScanSnap Organizerから呼び出して使うことになる。
なおS1300には、上記のソフトを同梱した標準パッケージ(直販価格2万7800円)と、独特の直感的なユーザーインターフェースを持つ文書管理ソフト「楽2ライブラリ パーソナルV5.0」を同梱したセットモデル(直販価格3万2800円、ソフト単体では直販価格2万5200円)が用意されている。セットモデルの場合、5万2800円相当のものが3万円台前半で購入できるわけだ。同社サイトでは、楽2ライブラリの体験版を配布している。独特のユーザーインターフェースが肌に合うようなら、セットモデルがお得だろう。
読み取りの際は、ScanSnap Managerで読み取りモードや解像度を設定し、読み取ったイメージの保存先を指定しておくと、パソコン側からの操作かS1300本体のボタンを押すことで、文書が読み込まれてScanSnap Organizer上にPDFファイルとして保存される(標準設定の場合)。このとき、白紙ページの削除や傾き補正を自動で行なうのが便利だ。
この段階では、読み取ったデータはビットマップイメージである。Organizer上で「検索可能なPDFに変換」をすると、部分的なOCR処理をして文書中からキーワードを抽出し、テキストをタブとして付与したPDFファイルに変換する。また「マーカー切り出し」を実行すると、文書のページイメージから任意の部分をブロック抽出して、別ファイルにクリップする。
ScanSnapでは、このキーワード抽出とクリップ切り出しを自動的(半自動的)に行なう機能を、インテリジェント機能と呼んでいる。キーワード抽出とクリップ切り出しは、あらかじめ紙の文書にマーカーペンなどで印をつけた箇所だけが対象になる。ただし、使えるマーカーは1ページあたり1色のみ、ページの中に少しでもカラー写真や図版が入っていると、認識に失敗して処理がスキップされてしまう。
カラー印刷された原稿でインテリジェント機能を使うには、いったんモノクロでコピーしてから読み込ませることになるし、マーカーペンでの印付けでは結局のところ人の手を煩わせてしまう。
筆者の過剰な期待によるところが大きいのかもしれないが、オフィスでの省資源化・文書管理の省力化はScanSnap S1300を使っても、なかなかに難しいものだと痛感してしまった。
ScanSnap S1300 の主な仕様 | |
---|---|
読取方式 | 自動給紙方式、両面同時読み取り |
解像度 | 最大 1200dpi相当(白黒時) |
読取速度 | 最大 両面・片面 8枚/分(カラー・グレー150dpi、白黒300dpi相当) |
読取範囲 | A4/A5/A6/B5/B6/はがき/名刺/レター/リーガルなど、最大216×360mm |
原稿搭載枚数 | 最大10枚 |
インターフェース | USB 2.0/1.1 |
サイズ | 幅284×奥行き99×高さ77mm |
質量 | 約1.4kg |
対応OS | Windows 7(32/64bit)/Vista(32/64bit)/XP/2000、Mac OS X 10.4以降 |
価格 | 2万7800円(PFUダイレクト価格) |
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筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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