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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第93回

新聞に明日はないが、活字メディアに明日はある

2009年11月18日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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政府は滅びゆく新聞社を救済すべきか

 アメリカの有名なウェブサイト「Huffington Post」の名前は、もちろんWashington Postのもじりだが、Compete.comの統計によると、今年10月のユニーク・ビジター数で、Huffpostが本家を抜いた。従来型の新聞をそのままウェブに載せたサイトより、ウェブ生まれのメディアのほうが大きなメディアになりつつあるのだ。Huffpostの読者がこの1年で57%増えたのに対して、本家の読者は22%減った。

Huffington Post オンラインメディアとして、アメリカでも話題の中心にいる「Huffington Post」。Movable Typeを用いるブログメディアであり、ユーザーがコメントを付けることも可能

 アメリカでは、経営危機に瀕している新聞業界を政府が税制優遇措置などで救う「新聞再生法案」が議会に出され、論議を呼んでいる。たしかに紙の新聞の寿命は、あと10年ぐらいしかないだろうが、ウェブ上のニュースサイトの比重は大きい。特に日本では、ウェブ上の情報の大部分はブログや電子メールなどの個人的な情報で、資料的な価値があるものはほとんどなく、広告媒体としてもコンテンツの質が保証できないため、有力なナショナルスポンサーがつかない。新聞や雑誌などが質の高い情報を出せば競争できる可能性はある。

 ただし広告だけで採算をとるのはむずかしい。まもなくインターネット広告は新聞を抜き、あと数年でテレビを抜くと予想されるが、客単価はテレビの1割ぐらいだといわれる。これはテレビがこれまで電波を独占してきたことによる超過利潤があるのに対して、インターネットの広告単価が競争的に決まるためで、長期的には他のメディアもインターネットの単価に近づいてゆくだろう。逆にインターネット広告の単価は、質の高い情報が増えてメディアとしての価値が上がれば、今より上がることが期待できる。

 在来型の広告の売り上げは約5兆円、GDPの「1%産業」といわれる成熟産業なので、あまり大きな成長は期待できない。しかしセールスマンなどによる営業を入れると、広い意味での営業費用は約20兆円ぐらいの市場規模があると推定される。日本ではこうした「ドブ板営業」が主流を占めてきたが、最近は人件費が上がって採算がとりにくくなった。今後はウェブによる低コストのマーケティングが伸びる可能性は高い。イベントなどの収入を組み合わせれば、TechCrunchのように黒字を出すことも可能だ。

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