通常のデジカメと同じ感覚で使える
W1を実際に使用してみると、幅広のボディは自然に両手で持つ撮影スタイルとなるのだが、その分しっかりとホールドでき、最近の薄型コンパクト機と比べてやや大きく重いボディもあって光学式手ぶれ補正がなくても比較的安定して撮れる。
ただし、ホールドしたときに前面に回す指(おもに中指)の位置によってはレンズにかぶりやすい。撮影画像に関しては、静止画を見る限り通常のFinePixとほぼ同程度の画質と考えてよいだろう。
使い勝手はかなり良い。というよりも通常の静止画デジタルカメラとほとんど変わりなく、3D/2Dに関わらずポケットやカバンから取り出して気軽にスナップ撮影でき、その場で立体に見えるという快適さは大きい。
記録時に注意したいのは、3D撮影では2D画像の約2倍のデータ量を必要とする点だ。ラージサイズ(3648×2736ドット)、ファイン画質であれば2DのJPEGで1枚あたり約4.9MBだが、3D画像はMPOファイル(複数の画像を1ファイルに収める新規格マルチピクチャーフォーマット)として記録され、1枚あたり約9.8MBとなる。
2枚分の画像なので容量がかさばるのは当然ではあるが、現在のところMPOファイルに対応するアプリが少なく、MPOファイルをパソコン上で閲覧することができないため、撮影時にJPEG+MPO記録を選ぶことになり、記録容量は2Dの約3倍になってしまう。できれば大容量SDメモリーカードを早めに導入しておきたい。
W1本体だけで3Dで撮れて、3Dで見られるというのは確かに面白く、しかも世界初で現在無二の存在ながら、なおかつ通常のコンパクトデジタルカメラとさほど変わらない使い勝手を実現している点はかなり完成度の高いデジカメと言える。
価格的には(予想実売価格はW1は6万円前後、V1が5万円前後、セットで10万円を切る程度)同程度のコンパクト機の2台分に近く、普通のコンパクト機から見れば割高に映るかもしれないが、他のカメラが2台あったとしてもこの楽しさが得られるものでないのも確かであり、価格に見合った楽しみを与えてくれる1台となるはずだ。